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組織には立場上、知るべきことと知るべきでないことがある

「これが根も葉もない嘘だということはヘリが来ればすぐにわかってしまう事じゃないか!!そんなことになれば、私の立場は!!」
「あなたは黙って打電すればいい!」
「いいだろう、Mr.モレーン・・・あなたの疑問にお答えしよう・・・よく見たまえ・・・」
「ああっ!ベリンデ将軍!!」
「わかったかね。Mr.モレーン・・・チェウシェスク大統領は、ここに居る!君が何も心配をすることはないんだよMr.モレーン・・・」
「わ、わかりました将軍、いや、大統領閣下・・・これで、私の顔も潰れずに済むというものだ・・・」

(ストーリー)
1989年にルーマニアでニコラエ・チャウシェスク書記長政権が打倒され、反チャウシェスク派クーデターを起こした。12月21日に事件が勃発し、12月26日にはチャウシェスク夫妻の処刑が発表された。その6日間の出来事である。チャウシェスクは民衆が貧しい中、あらん限りの贅沢を尽くし、親類縁者を登用して一族を潤わせていた。

チャウシェスクには影武者がおり、ゴルゴはその影武者とセキュリターテ(ルーマニア治安警察)のミハイル・ベリンデ将軍の殺害を依頼された。チャウシェスク本人は人民に裁かれるべきだと考えていたからだ。影武者を巧みに利用することで非常事態発生の際に友好国に秘かに逃亡し、莫大な資産を利用して再起を狙う。その間に大統領に成りすました影武者をベリンデが操って非常事態を治める事態を阻止しようと思っていたのである。
 
実はベリンデ将軍がチェウシェスクの影武者であった。ヘリが迎えに来て、ベリンデ将軍はチャウシェスクの変装をしたままでヘリに手を振った。そのヘリにはゴルゴが乗っており、影武者らを射殺した。

(解説)
「東欧の激動 六日間革命」の一幕である。モレーンとはロビイストであって、外国人でもある。そして自分の面子にこだわる人間だ。得てしてこのような人物は、見たことしか信じない。そして自分で納得できないことがあったら、まるで動こうとしない。しかし、ベリンデ将軍がチャウシェスクの影武者であるという機密を知ってしまったために、殺されてしまう。

自分の面子にこだわる人間は、自分の面子だけ守れればいいという行動原理を持っている。本当のことを教えるほどの重要人物になり得ない。最終的には同胞にはなれないからだ。自分の面子よりも組織を重んじる人間が、組織にとって核となる人材だ。

また、見たものしか信じない人間も、いちいち説明が大変だから使えない。全て知らせては組織の機密も守れない。まあ、どこまでも外部者として扱った方が良いだろう。

[教訓]
〇個人の面子よりも組織を大切にする人間が組織の核になる人間である。
〇何でも知りたがる人間は身を亡ぼす。組織には知るべきことと知るべきでないことがある。自分の立場をわきまえよ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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