「アレジは、来年もこのティレル・チームで走る契約をしていたはずですが・・・?」
「うむ・・・ティレル・チームとしては来年も契約を続行して、アレジに走ってもらうこともできた・・・しかし、ドライバーの心が100%、チームに向いていないとしたら・・・彼がフルポテンシャルを発揮してくれるとは、限らないからね・・・」
「天馬は自分が空を翔ることに疑問を持っていないから、空を翔べるんだ。それは確固たる自信と言ってもいい!だが、心にわずかでも疑問が生じたら、その自信は揺らぎ、天馬は空から落ちてしまう・・・F-1ドライバーは、そういう男たちなんだよ。しかもレース中の彼らは死に一番近い場所にいる人間、だから・・・ね!」
(ストーリー)
フィリップス・サワダは、日本の自動車メーカー『澤田自動車』がイギリスの名門チームのフィリップスにエンジンを提供しているF1チーム。エンジン部門のリーダーは小西良雄であった。そしてポルトガル・グランプリで、1位マンセル、2位レネ、3位プロストであり、次のスペイン・グランプリでレネが勝てば、チャンピオンが決定する。
レネが小西と話をしているときに、プロストがチャンピオンになるのを邪魔するなという脅迫電話がかかってきた。スペイン・グランプリではレネがリタイアし、フェラーリのプロストとマンセルが1位、2位を獲得し、チャンピオン争いは、日本グランプリに鈴鹿サーキットに持ち越されることになった。
澤田自動車の社長が小西に、今回は自分たちは負けるように伝えた。その理由は、ヨーロッパのサワダバッシングだ。自動車が売れなくなったら困るのだという。会社にとってF1ha社のイメージアップのPR活動でしかないからだ。しかし小西は拒絶する。やむを得ず、社長はゴルゴに依頼し、自社のマシーンを狙撃してリタイアさせてほしいという。
結果、レネとプロストがリタイアし、ドライバーズチャンピオンはレネに決定した。この大会で鈴木亜久里が3位入賞を果たし、日本のF1ファンにとってプレゼントになった。
(解説)
「F-1サーカス」の一幕である。前段は、フェラーリにジャン・アレジが移籍するという噂を聞いて、ティレル・チームのリーダーから事実を確認したときの台詞。
いくら契約だといっても、会社組織から気持ちが離れていれば、いつまでも慰留しても意味がない。辞めたい奴はやめさせた方がいい。
後段はチームのメンバーから、小西に対して、レネが最高のコンディションを迎えられるよう守ってやってくれという台詞である。脅迫に負けて、レースに影響しているというのだ。
これは経営者にも言える。成功に対する自信がゆるぎないから、成功する。自分の成功に対して自信がなければ、失敗してしまう。経営者は刃の上を歩いているようなものなのだ。
[教訓]
〇組織にいたくない奴は慰留しても意味がない。パフォーマンスが悪くなるとかえって、組織のためにならない。
〇自信を揺らがせるな。成功するためには確固たる自信が必要である。