「・・・ガソリンがそのままの分子構造で残っていればこの火で部屋は爆発します・・・が・・・私の微生物たちが、しっかり働いて分解してくれていれば、何も起こりません・・・」
「試験管を使った精密な実験よりも、あのような単純明快なデモンストレーションの方が、心理的効果ははるかに高い!あれは、科学者の発想ではないな?」
「はい、ファティマの提案を受けてあのように・・・閣下が一層喜ばれるようにと・・・」
(ストーリー)
ソ連のエルンスト・ヒルシュ、バイオテクノロジーの研究者がバクダッドで発見された。どうやら石油を分解する微生物を開発しているらしい。それが世界各地の石油施設に起こりこまれたら世界経済は大混乱に陥る。アメリカはイラクに対する開戦前にサダム・フセインの切り札を抹殺しておく必要があると考えた。
ソ連では一つ事件が起きていた。バルゼーエフを人質に立てこもったテロリストが、ソ連に対し、イラクに対する各国連決議の白紙撤回と多国籍軍の湾岸撤退を、国連常任理事国として安保理に勧告せよというものであった。バルゼーエフはソ連保守派の陰の実力者であり、ゴルバチョフが見捨てたとすれば、万全でない国内基盤がさらに揺るぐ。
ゴルゴは強行日程の中で、ソ連とアメリカの依頼を受けることになった。まずゴルゴはソ連に行き、テロリストを狙撃。イラクのターゲットの所在が飛行中とのこと。ヘリからヒルシュの乗る飛行機の主輪を狙撃。これでしばらく胴体着陸の受け入れ態勢を整えるためにしばらく空中に待機、そして胴体着陸を余儀なくされた。ゴルゴはタラップから降りてくるヒルシュを狙撃、そして、漏れる燃料を狙撃することで飛行機を炎上。微生物も破壊した。
武力行使を差し控える理由がなくなったアメリカは湾岸戦争を開始した。
(解説)
「Kデー・カウントダウン」の一幕である。ヒルシュが石油を分解する微生物を開発し、それをサダム・フセインに成果として見せる時に、研究者が試験管を使って、見せるよりも、石油を分解した液体に、研究者自らが両足を入れ、その液体に火を落とす。しかし分解した後の液体のため、火が付かない。もし、微生物が石油を分解していなければ、ヒルシュの体は炎に包まれる。これが、インパクトというものである。命を懸けるほど強烈なものはない。
ユーチューバーの中には、自分の命を懸けたパフォーマンスで本当に命を落としたり、あるいはインスタグラムで危ないところでセルフィ―を撮って、そのまま落下して死んでしまうといった事故がたまに起こる。命を捨てて、視聴者数が増えても何の意味もない。
ここまで過激なことはすることはないが、それでもインパクトを与えることが、PRや広告には必要である。
[教訓]
〇PRや広告は、インパクトを重視せよ。こんなことはまさかやるまいということを考えよ。当たり前のデモンストレーションでは何のインパクトもない。