「戦わずして勝ちを得るのは、良将の成すところである。」
(解説)
孫子の兵法はここでも生きている。戦争では人が死なざるを得ない。だから、むやみに戦ってはならない。今のビジネスでは死ぬことはほとんどないであろうが、戦えば経営資源を無駄にする。しかも敵との消耗戦にしかならない。だから、無理に戦ってはならない。でも消耗戦をして、競合を蹴落とす奴が最近多い。蹴落とされる方が悪いと言ってしまえばそれきりであるから、常に新しい市場を目掛けていかないと企業経営は持続が難しい。
一番の問題は、みんな安易に稼げるマーケットに参入することである。どんなビジネスでも確実に上手く行くということはないが、ある程度、難易度の高いマーケットに参入しなければ、高利益率は取れない。それでは難易度の高いマーケットに参入するためにはどうしたらよいかだが、要するにお金が持つかどうかだから、自分がそれほど手金を持っていない場合には、資本を調達するということになるだろう。
資本を調達するということは投資家にリスクを持ってもらうことである。それを引き換えに経営権の一部を渡すことになる。投資家にリスクを負ってもらうからには、投資家に対してリターンを提供しなければならないから、最低でもM&Aで持分を売却するのだが、最初は上場を目指すパフォーマンスは必要である。もちろん上場すれば創業者利益も獲得できるし、起業家として最もハッピーな結論になる。そして投資家にも最も大きな利益還元になる。
誰も参入していないマーケットに打って出る。ハイリスクではあるが、無人の野を行くが如く、ライバルが皆無な場所である。しかし全く参入者がいないマーケットでは、よほどのことがない限りは投資家受けしないこともある。世の中の課題は何か、その課題をどのように解決するのか、そしてその解決はなぜあなたじゃないとできないのか。その辺をクリアにしておく必要があるし、理論的に説明できれば、調達の可能性は格段に上がる。
[教訓]
〇無人の野を行くマーケットに参入すれば、高利益率が取れる。まさに戦わずして勝つ。