「どこへ逃げたって、日本全国は俺の庭だ。気にするな。」
(解説)
これを見て思い出すのは、孫悟空とお釈迦様の智慧比べの話しである。乱暴狼藉を働く孫悟空に、お釈迦様は言う。「私の手のひらから飛び出すことができれば、お前の望む通りにしてあげよう。」悟空は「バカにするな!」と筋斗雲に飛び乗り、世界の端を目指します。これは良し、自分がここまで来た証拠を、雲の間から立っている五本の柱に残してやろうと。来た証拠にと柱に「悟空参上!」と書き、お釈迦様のもとへ帰ってきた悟空。しかしお釈迦様の指を見ると、「悟空参上!」と書いてあった。結局悟空は、手のひらの上で飛び回っていただけだったという話である。
手のひらの上で遊ばれていただけだったということだが、手のひらの上から逃れるのを自由と我々は考えていると思う。しかし人間は誰かに依存せずに生きていくことはできない。自立は誰かの依存を排除することではなく、必要な依存を受け入れて、それを自覚し、感謝することである。自分の力で立っていると思ったら大間違い。そもそも大地がなければ立つことはできない。支えているものがあるから、自分の力で立てるのである。それを忘れて、自分を縛りつけるもののように扱おうとすると、悟空のように傲慢になり、孤立していくのである。
ビジネスだって同じこと、会社を支えるスタッフがいて、取引先がいて、また、売上をもたらしてくれる顧客がいる。リーダーであれば、こういった様々なプレーヤーが会社を支えているという気持ちに立たないといけない。自分がいればすべてが回るなんてことはないのだ。
[教訓]
〇リーダーだけでは組織が成り立たない。関係者あってこそのビジネスだと自覚せよ。