「信長公は勇将であるが良将ではない。剛を持って柔に勝つことを知ってはおられたが、柔が剛を制することをご存じなかった。ひとたび敵対した者に対しては、怒りがいつまでも解けず、ことごとく根を断ち葉を枯らそうとされた。だから降伏する者をも誅殺した。これは人物器量が狭いためである。人には敬遠され、衆から愛されることはない。」
(解説)
信長がいなくなった後で本音を言ってしまった秀吉。信長の性格が明智光秀の謀反を生んでしまったと思えるような信長評である。歴史にたらればは禁物だが、光秀の謀反さえなければ、信長が天下統一をしていたかもしれないし、実際に天下統一をしたのが秀吉だからと言って、どちらがリーダーとして優れていたともいえない。上記信長評から、あえて秀吉を望ましいリーダー像と考えてみよう。
まず勇敢なだけではなく、力だけではなく、柔軟性を持たなければならないということ。特にライバル心を持ってしまったら、相手を潰すまでやり切ってしまうのはよろしくない。こういう人物は器量が狭いと言われてしまう。そのため、相手に塩を送るくらいのことをしなければならない。いわゆるライバルにこそいざという時の同志とせよということなのだろう。特に同じ組織であれば問題ないであろう。
別の組織同士では競争は必要だが、協創の観点を持たない限り、色々な関係者、顧客も含めて、真に慕われるリーダーにはなりえないであろう。マーケットを食い荒らすだけの存在でしかなくなってしまう。マーケットリーダーはマーケットを育てる責務も負っていると思われる。追随者から好かれるリーダーとなれ。
[教訓]
〇真のリーダーは競争を超えて、協創の理念を持て。