宮本武蔵に学ぶ、
「心を動揺されるとは、危険な場合、無理な場合、予測しないことが起きた場合。」
「多人数の戦いでも相手方の心を動揺されることが肝心である。敵の予測しないところを激しい勢いで仕掛けて、敵の心が定まらないうちに、こちらの有利なように先手をかけて勝つことが大切である。」
「一対一の戦いでも、初めはゆっくりとした様子で、急に強くかかり、敵の心の動揺に応じて、息を抜かず、こちらの有利なままに勝ちを得ることが肝心。」
(解説)
危険が生じたとき、無理が生じたとき、予測しないことが生じたとき、人は動揺する。心が動揺すると、ミスを犯す。高齢者の運転での事故が問題になっているが、運動能力や判断能力の低下と心の動揺もある。ブレーキを間違えてアクセルを踏んでしまう。しかしこれは高齢者だけの問題ではなく、比較的若い人にだって、心が動揺してしまえば、ありうると思う。
心が動揺すると判断ミスを犯しやすくなるので、戦いの場面では、相手の動揺を誘うことが勝利のカギとなる。
ビジネスの場面では、危険に陥っている無理をしていると言うのは初期段階では第三者からはわからない。それを自ら感じたら、自滅することはある。心の動揺を一つの戦略として、競合相手に仕掛けると考えれば、唯一競合相手に影響を及ぼせる戦略は、競合相手が予期しないことが起こるということだ。しかも準備期間を与えずとなる。
そのため、例えば、近隣に同業他店ができたところで、戦々恐々とはするが、通常は工事中の看板が出てくるから、準備期間中に対策も練れるし、それほど焦りはしない。後は開店後のご祝義があるから、それが落ち着けば、平常通りに戻るだろう位にしか思わない。
しかし顧客層が被っていて、新規の店がチェーン店のようなブランド力がある場合には、ちょいビビる。そもそもチェーン店と客が被るような飲食店をやろうというところが間違っているが。
仮に顧客が被る店だった場合、思いのほかご祝義が続くと思ったら、強力なライバル出現をその時自覚し、かつ、動揺を隠せなくなる。そういったときには、ひとまず落ち着き、相手の店が流行っている理由を敵情視察しよう。お客様の中には、向こうの店を利用した人もいるかもしれないから、ヒアリングしてみてもいい。敵のスパイを買ってくれるお客様をどれだけ味方につけられるかも、勝つためには必要なことなのだ。
情報は、自分の動揺を抑える薬だ。予測ができないことが起きるかが動揺する。逆にいれば予測ができる範囲のことや、対処できれば動揺しない。
[教訓]
〇自ら動揺しないために、予測できる範囲を広げておこう。それには情報調達能力、一番頼りになるのは自店のリピーターのお客様だ。お客こそ味方につけよ。