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ビジネスにおける本当の敗北とは

宮本武蔵に学ぶ、

「敵と戦ううちに。兵法の技をもって形の上では敵に勝つように見えても、敵が敵愾心を持ち続けているので、表面では負けていても心底では負けていないことがある。そのようなときには、こちらは素早く変わった心持で、敵の気力をくじき、敵を心底から負けた状態にしてしまうことを見届けることが肝要である。」

「敵が心底から崩れてしまった場合には、こちらも心を残しておく必要はないが、そうでないときには心を残しておかねばならない。敵も心を残していれば、中々崩れないものである。」

(解説)

底を抜く、というのはどういう意味かと言うと、樽の中に水が入っていたとして、その水が抜かれる。人によっては、その水が抜かれた時点で負けだと思い込む。しかし別に人にとって見れば、樽の底が抜かれないうちは、また水がたまるんだし、負けてはいないと思え、ということ。逆に言えば、樽の底が抜かれた時点で完全に負けるから、攻撃する方としては、完膚なきまでに樽の底をぶち抜け、ということになる。

ドラえもんの好きなエピソードがある。ドラえもんが未来に変えることになり、のび太が空き地で夜にぼーっとしていたら、ジャイアンがやってきて、のび太は徹底的に殴られる。ドラえもんがのび太を探しに来るが、のび太とジャイアンはドラえもんがいなくなるまで隠れ、ドラえもんがいなくなった後でケンカを再開する。でものび太は、ジャイアンに負けたら「ドラえもんは安心して帰れないんだ」と殴り続けられる。

普通であれば殴られ続けて反撃できないなら、負けなのだが、ジャイアンが殴るのをあきらめた。のび太は無抵抗ながら勝ったのだ。

戦っていて、負けていても、負けている方が負けていないと思った時点で、負けていないのだ。いくら攻撃側が圧倒していたとしても。

会社経営だって、同じで、銀行へ返済できないという理由で、銀行は倒産呼ばわりしてくる。しかし、経営者がまだ潰れていないと思えば、誰に何と言われようと潰れていないのだ。銀行へ返済できないくらいであれば、樽の水が全部抜かれたに過ぎない。水をキャッシュに例えれば、キャッシュがない状態か。でも経営者にとっての底が抜かれない限りは、いくらでも再起できる。

いくら負けっぱなしでも、勝つまであきらめない。勝負はキャッシュがなくなってから始まるのだ。

[教訓]

〇企業は銀行から倒産呼ばわりされてから始まる(くらいの気持ちで)。

〇勝負はキャッシュがスカスカになってからだ。

〇どんな状況下にあっても経営者が気持ちを強く持ち続ける限り、会社は存続する。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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