宮本武蔵に学ぶ、
「家を建てるには「木くばり」をする。まっすぐで節もなく、見かけも良い材木は、表の柱とし、少しは節があっても、まっすぐで強いのは裏の柱とし、多少は弱くても、節がなく美しいのを敷居、鴨居、戸、障子等にそれぞれ使い、節があっても歪んでいても強い木は、その家の各強度を見分け、よく吟味して使用するならば、その家は長持ちするであろう。また、材木の中でも節が多く、歪んで、弱いのは足場にでも使い、後で薪にでも使うのが良いのである。」
「棟梁が大工を使うにあたっては、腕前の上中下を知り、あるいは床廻り、あるいは戸障子、あるいは敷居、鴨居、天井と言うようにそれぞれに応じて使う。腕の悪いものには根太を張らせ、もっと悪い者には、くさびを削らせる等、よく人を見分けて使えば、仕事の能率が上がって手際よくいくものである。」
(解説)
まさに、リーダーはかくあるべしである。無駄遣いはしない。適材適所を心がける。前段では、材料の有効活用を記している。これは材料だけでなく、人材にも言える。一本の木は節が合ったり、強かったり、節がなく弱かったり、色々である。今までの日本の教育は、節がなく頑丈なものを優れた材木であると、してきただけのような気がする。そうではなくて、節がある場合、節がない場合、強いもの、弱いものとその個性に合わせて使い切れ、ということだ。
家の本体にも使えそうにないものであれば、足場として使え、薪として使え。要するに使えないものはない。使えないと思うのは、使わない棟梁の責任であるということだ。
材料においても、見栄えの悪い野菜は、加工すれば使える。キャベツの芯だって、ゆでれば食べられる。捨てる部分を減らせば、材料費率も下がる。
人の能力も、上手い下手がある。そのときに上手い人は上手い人でなければならない仕事をさせ、下手な人でも根太を張らせたり、もっと下手な人にはくさびを削らせるなどさせよと。人を見分けて使うことで、仕事の能率が上がって手際よくいくとしている。
[教訓]
〇資源の無駄遣いはするな。
〇人の適材適所を心がけよ。能力のないのをスタッフのせいにするな。能力に応じて人を使い分けろ。