宮本武蔵に学ぶ、
「すべて兵法にあっては、平常の身体のこなし方を戦いのときの身のこなし方とし、戦いの時の身のこなし方を平常と同じ身のこなし方とすることが大切である。」
(解説)
平常心と平常身を説く。本番の時はだれしも緊張するものだ。その中で、緊張をしないためには、本番でもいつもと同じ状況を作り出すこと。つまりスポーツで言うところの練習となる。ビジネスにおいてはどうか。場数を踏むという以外にはないだろう。こればかりは理屈をこねたところでどうにもならない。ケーススタディなんか学んだところで、同じケースが出てこないと対応できないのでは意味がない。通常は、似たようなケースをいかに現実に起こっているケースに対応させるかということ。それには、教科書で学ぶことよりも、現実から学んだ方がはるかに自分のためになっている。
平常心を持てれば、行動力も高まる。理屈先行型だと、全方位準備をしてしまって、石橋を叩いて、叩いてやっぱり渡らないということになりかねない。まあこの手の橋なら大丈夫だろうと思えば、とりあえずわたってみて、向こう岸にたどり着く。渡らなければ向こう岸にはたどり着かない。つまり目標は達成しない。
平常心だけでなく、無心も大切だ。ギャンブルでお金をかけるのがダメなタイプ、当然お金をかけないとダメなタイプと二種類ある。ギャンブルの場合、真剣にやったからと言って必ず勝てるものではない。ポーカーやブラックジャック等の相手がある勝負であれば、真剣にやった方が良い人もいる。相手の裏読みが苦手な人間や、自分の感情が表に出てしまうタイプは絶対にうまくいかない。こういうときにこそ無心を装わなければならない。
欲を持ってしまうと、ビジネスが上手くいかないこともある。ここでぼろ儲けしようと思ったら、相手に見透かされて、取引をしてくれないこともある。価格戦略はバカにはできない。同業他社との比較、相手との力関係も含め、あまり儲けすぎても長続きはしない。ましてや取らなさすぎでも長続きはしない。前者は顧客が離れてしまう。後者は自分の会社が疲弊する。お客様のためを思って安くするのは間違っていないが、安くしすぎると、自分の対応がいい加減になったり、中長期的にビジネスが継続できない、つまりサービスの提供ができなくなるわけだから、これもお客様のためにならない。儲けすぎず、損をしすぎず。これもある意味では無心や平常心ということなのだろう。
[教訓]
〇平常心を貫けば、慌てることなく良い方向へ進める。