宮本武蔵に学ぶ、
「他流の道を知らなくては、二天一流の道を的確に知ることはできない。」
「他の流派の人々は、武芸の道を生計の手段として、華やかな技巧を飾ることによって売り物に仕立てようとするのであって、全く兵法の正しい道からは外れたものである。」
(解説)
自社サービスを始める時は、通常、競合他社がどのような商品・サービス構成を持っているのだろうか、その価格はどうなっているかを確認してから始めるだろう。本来ならばと言いたいのだが、競合他社の状況を調査せずに、不動産屋のこの物件を早めに抑えないと、という口車に乗せられて、契約を済ませてしまい、自分の提供したいメニューで始めてしまう、という店の多いこと。
店はロケーションが第一とも言われるが、本当にその場所で良かったのかは、そもそもそのエリアの商圏調査を行い、どのようなお客様が見込めるのだろうか、駅から住宅街の導線にあるか、そもそも近隣の店はどういう店なんだ、それらを全部調査してから、不動産屋との契約を進めるべきなのだ。
ロケーションは確かに馬鹿にはできない。しかし急がなければならないほどの物件なのかというと、ほとんどがそんなことはない。ロケーション以上に商圏調査の方が重要だ。そもそも人通りだけに期待することが間違っている。人通りも大切だが、それ以上に店のコンセプトの方がもっと重要だ。
コンセプトが明確であって、きちんと顧客に店の存在を告知できさえすれば、路地裏の繁盛店だって可能なのだ。
提供しているメニューが同じで、コンセプトもさえないものであれば、既存店に軍配が上がってしまう。開店キャンペーン期間中はお客様を奪うことができるが、宴の後は閑散してしまう。価格についても、競合他社と比べて高かったら、その高いことに対する付加価値が求められる。実は自分がその価格で売りたかっただけ、ということが往々にしてある。もちろん、競合他社より安い方がいいというわけではない。あくまでも付加価値があるかどうかであり、その価格の合理性をお客様にきちんと伝えられるかどうかにかかっている。ただ高いだけでは、安い方にはかなわない。
また、外見で勝負すると言ったお店もあるが、ほとんどネタにしかならない。料理は味で勝負すべきだ。外見の華やかさよりも料理の質、あるいはサービスの質。そして何よりもコンセプトだ。
いずれにしても差別化を図れなければ、お客は自店にやってこない。他店との差別化を図るためにも、まずは他社サービスを徹底的に研究すべきである。
[教訓]
〇自社のサービスを他社との差別化を図るために、他社サービスを徹底的に研究せよ。
〇外見よりも商品やサービスの質の高さで勝負せよ。