織田信長に学ぶ、
「組織に貢献してくれるのは優秀な者よりも能力は並の上だが、忠実な者の方だ。」
(解説)
両雄並び立たずとはよく言われる。戦国時代でも、英雄は常に一人か二人だ。そして二人のうちどちらかが敗北していく。それと比べてビジネスの世界はどれだけ緩やかなのだろうか。どんな業界にも1位、2位、3位といて、3位は確かにそれだけ売り上げや利益や資産規模は小さくなるかもしれないが、別に生きていけないわけでもない。
天下人になる必要もない。寡占状態にはなっても独占状態になることは、独占禁止法によって禁じられている。しかし、組織では、共同代表は無きにしも非ずだが、それほど上手くいったためしがない。どちらかが上で、どちらかが下でないとうまくいかない。絶対君主は一人でいい。組織内に二人の絶対君主はいらない。
そこで信長の言葉を見るに、優秀なものと言うのは信長一人だけで良い。だから優秀な人はかえって邪魔だ。しかも自分が優秀だと思う奴は、いずれにせよ組織から出ていこうとする。優秀な人材は、ある組織を出ていっても、外で自分の組織を作ることができる。また、優秀であるがゆえに、自分の上司は不要なのだ。
組織としては、優秀な人よりも、そこそこ能力は高いが、組織や君主に対して忠実な者がいい。それは組織のために働いてくれるからだ。人が組織に属する理由は、自分一人では自分のしたいことができないからだ。組織に属しなくても自分で自分のしたいことができれば、わざわざ組織に属する必要もない。上司からの指示を受けて動かなければならないのははっきりいってウザい。世の中の大半は、自分で稼ぐことのできない人たちばかりだ。そういう人は組織にいた方がいいし、組織にいなければ生きていけないから、望むと望まざるとにかかわらず、組織に属する動機がある。
組織にいなきゃならならないのだから、上司の命令は聞く。そうしなければ生きていけないからだ。手足として用いるならば、まず命令を聞いてくれるものの方がいい。何かと反論されても困る。また、その仕事をやる理由をいちいち説明している暇もない。
厄介なのはある分野にものすごく優秀な人だ。優秀であるというだけで野心を持ってしまうが、ある分野で優秀だからと言って、会社の経営ができるかと言ったら、それは甘い。会社経営は、また別のスキルになる。
そういう人は組織に適合しない。社会に揉まれて、残念ながら組織人であることを知るために、一度痛い目に合わせた方がいい。稼げなくて、貧困にあえぐ苦悩を。あるいは稼げても組織をまとめるのは別の才能が必要だということ。
[教訓]
〇会社のリーダーは一人でいい。共同代表の場合でも実質どちらかが上、どちらかが下の方が上手くいく。
〇手足になるのは能力が人並み以上にあれば十分だ。むしろ優秀な野心家は組織から出ていってしまう。
〇ある組織に属する動機は、今の組織にいなければ食べていけないか、この組織にいた方が、よりその人の能力を生かすことができるかだ。優秀な人材を引き留める動機は、今の組織にいた方があなたの能力を生かすことができると説得することだ。