織田信長に学ぶ、
およそ勝負は時の運によるもので、計画して勝てるものではない。功名は武士の本意とはいっても、そのあり方によるものだ。いまその方の功名は軽率な動きである。一方の大将となろうとする者は、そのような功名を願ってはならぬ。身の危ういのをかえりみないのは、それほど手柄と言うことはできない。今後はこの心を忘れるな。
(解説)
スポーツの世界でも強い方が勝つわけではない、むしろ勝った方が強いと言われる。特にサッカーの世界ではジャイアントキリングが起きる。たった1点を争うスポーツのために、その1点が偶然入ることもあれば、その1点が不幸にも入らないこともある。フィールドの神様のいたずらで勝敗が決まるときがある。これはまさに時の運としか言いようがない。トーナメント戦ではそういった時の運に左右される。
相当力の差がない限り、確実に勝とうと思って勝てる勝負はない。それはビジネスの世界でも同じだ。事業計画書を書くものの、まず、その通りに行くことの方が稀である。それはなぜか、ビジネスも相手がいる勝負だからだ。常にビジネスとは相手との力関係に寄って決まる。以前は、供給が少なく、需要の方が多かったために、モノやサービスを提供すれば売れた(売りやすかった)。今は色々なサービスの多くが、供給が多く、需要が少ない。それだけ経済の動きが少ない。
昔はサービス提供側の方が顧客より強いことが多かった。しかし今はサービス提供側の方が弱く、顧客の方が強いことが多い。その中で勝つためには、需要が供給よりも多いビジネスを狙うことだ。簡単なようでものすごく難しい。供給がまるでないビジネスはダメなのだ。少し供給があって、これからグンと伸びると思われるサービスを展開する。そのグンと伸びるのを発見できるかどうかにかかっている。
その発見力は調査能力もある、しかしほとんど運に近い。たまたまその周辺でビジネスを展開していてふと気づいてしまった、それがビジネスにつながっただけにすぎない。その周辺にいたというのは、まさに時の運なのだ。そしてそれを気付いたとき、ちょうどいいタイミングでなければならない。新規参入者が増えてくるちょうど前でなければならなない。新規参入者が大量に入り込んできたときに、参入したらやはり儲けられずに終わってしまう。何度も繰り返すが時の運以外の何物でもない。
では運がよくなきゃダメなら、ビジネスなんてやっても無理だってことかい、ではない。運をつかむために、とにかくアンテナを張り巡らし、上記で言うところの「その周辺」でビジネスをやり続けて、チャンスを待つしかない。
さて、功名とは手柄を立てて名を上げることを言うが、これも狙って得られるものではないし、得ようと思ったらこじんまりとしてしまう。ある程度稼がなきゃいけないと、自分のスキルの時間売りを始めて、働きづめになって、本当に儲かるビジネスのネタに気づかずに終わってしまう。最初のうちは、生活できりゃいいぐらいに開き直り、ビジネスのネタを探す時間を確保した方がいい。そして、グッと来たらバーンというチャンスをものにするのだ。
コンピューターならぬ、カンピューターでしか大物にはなれないのである。
[教訓]
〇勘を働かせるくらいの余裕を持った仕事をしなければならない。
〇起業家は生活最低限で生きられればいいと開き直れ。そうでないと勘が働かない。
〇起業家は計算(コンピューター)ではない、閃き(カンピューター)だ