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選択と集中

織田信長に学ぶ、

「攻撃を一点に集約せよ、無駄な事はするな。」

(解説)

選択と集中は、自社の強み分野を見極めて、その分野に経営資源を集中することで経営の効率化や業績の向上を図ることを言う。手広くやりすぎて、リソースが分散されたときに、自社の中核分野を選択して、経営の改善を目指す場合に用いられる。元々はピーター・ドラッカーが提唱して、GEのジャック・ウェルチが実践して、成功事例にした。自社の強みがある部分、いわゆる他社と比較して、競争力のある、事業コアを「コア・コンピタンス」と言う。

まずは経営資源を特定分野に集中させることで、業務プロセスを最適化し、組織構造がシンプルになることで、経営コストの削減につながる。また、業務の見直しを図ることで、不採算部門を整理し、余剰人員を成長分野や利益率の高い分野に振り分け、より会社としての利益を拡大することができるのだ。その余剰人員を社内で吸収しきれないときには、リストラが行われる。

選択と集中は大企業だけのものではない。起業時には通常、一つの事業だけを行うだろう。それが順調に進めばよいのだが、それが上手くいかなくなると、色々なことに手を出し始める。新規事業の必要性を社長が唱え出したら、既存の事業が上手くいってないのね、と思えばほぼ的中する。本来ならば、既存事業が調子のいいときにこそ新規事業は手掛けるべきなのだが、安定して稼げていると、別のことには頭が行かなくなる。

さらに厄介なことは、既存事業で赤字を出していて、新規事業で一発逆転を狙うために、融資を受けたいという場合だ。そういう発想を持っている時点で、経営者としての能力を疑わざるを得ない。既存事業の失敗者だということを忘れてはならない。これは上手くいくと思って、今までにやったことのないことをして、失敗したらただの間抜け。サラリーマン時代にやってきたことの延長で上手くいかなかったらただの無能。どちらにしても経営者としては失格だ。

一つのこともロクに完結できない経営者は、他のことをやったとしても、上手くいかせることはできない。だからまず、サラリーマン時代にやってきたことをコツコツとやる。そこだけに集中する。色々なことに手を出してしまうと、自分のリソースが色々な業務に分散してしまう。普通の人は、一つの仕事をするのだって、最初からフルスロットルというわけにはいかない。最初は徐行運転(スロースターター)だろう。そこに電話がかかってくると、その電話の対応によって、今までの仕事はまた徐行運転からになる。たかが電話だけでも集中力がそがれるのだから、ましてや他の仕事となれば、もっとペースが乱れる。しかも一つ一つのビジネスが上手くいっていればまだしも、上手くいっていなければそれこそ収拾が付かなくなる。つまり無駄な時間や動きが増える。

一つのことだけを集中してやらないと、改善点すらも明確にならない。集中するということは真剣にやるということだ。一つのことも真剣にできないに経営者が複数のことを真剣にできるわけがない。

[教訓]

〇起業時は一つのことで始めるのだから、よほどのことがなければ、最初のことを継続してコツコツとやること。

〇色々と手を出すと、無駄な時間が増えるだけ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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