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会社にとって一番強い株主を味方に付ける方法

織田信長に学ぶ、

三好三人衆は摂津の野田城、福島城に拠って挙兵した。信長はこの挙兵に対して天王寺に出陣し、付け城を築くとともに、香西佳清と三好政勝を寝返らせて有利に戦いを進めていたが、石山本願寺法主顕如が蜂起したことで、信長は摂津戦線に足止めされた。これを機に浅井長政、朝倉義景が京都へ向け出陣。ここに志賀の陣が始まった。

信長は浅井・朝倉勢が京都へ迫っているとの知らせを受け、摂津戦線から撤退。信長が転進してきたことを知った浅井・朝倉勢は比叡山へ後退。信長は織田方に就くならば織田領の荘園を回復するが、それができなければ中立を保ってほしい。もしこのまま敵に味方するならば、延暦寺を焼き払うと知らせたが、延暦寺側は返事をしなかった。

信長が延暦寺で身動きが取れなくなっていたため、各地の反織田勢力が挙兵。情勢が悪化していくため、信長は朝廷と足利義昭を依頼して講和を画策。比叡山の朝倉・浅井軍も兵量が尽き、日が過ぎるほど雪が深くなり帰陣しづらくなることで、信長との講和に同意した。

(解説)

信長包囲網によって信長が最も苦戦を強いられた戦いであった。朝倉・浅井にとっても、比叡山に立てこもるだけで攻めることができなかった。信長は将軍と天皇を動かすことでようやく切り抜けられたピンチであった。

ビジネスをやっていると、次から次へと問題が噴出することがある。それは日々の運営上の問題を後回しにして、一つのきっかけで、一気に顕在化するのである。そもそも天下統一をするわけで、いやいやながら、周囲を従わせる以上、周囲が敵対する状況は避けられない。とはいえ、ビジネスであれば、これほど周囲を敵に回す状況はあまりないと思う。

しかし、社内で社長が周囲を敵に回すという事例があった。例えば、社長に求心力がなくなった場合、社長以外の取締役が謀反を起こして、会社が乗っ取られたケースのことだ。なんと代表印(実印)も他の取締役に渡していたものだから、登記まで、もはや代表ではなくなっていたのである。やり方が悪くて追い出されたケースだ。ただ、その社長を追い出して取締役がやれば上手くいったかというとそうでもなくて、結局は倒産して終わっている。争うと思えば、株主総会の不存在の訴えでも起こせばよいとは思うが、そこまで守りたい会社でもなかったというよりも、その事業を推進していくうえでの自信が今一つだったのだと思う。ただ、自分でなければこの事業はできないという捨て台詞だけは立派だった。

また、株式の過半数以上が、社長のものでなくなっていたということも乗っ取りを許した原因の一つだ。社長たるもの、各方面とのコミュニケーションは蜜にとっておき、少なくともいきなり外されることのないように注意はしておくべきだ。株主は投資したお金が返ってこなければ困るから、実績を出さない役員は退陣してほしいと思って当然であり、実績を上げますよという取締役の言葉を信じてしまうケースもある。

仮に株主の許可とは関係なしに、代表取締役が辞任(本来は解任)されたとなれば、朝廷や将軍とは株主のことを言い、株主を味方にしておけば、いくらでもクーデターは回避できたはずなのだ。

[教訓]

〇株式会社にとっての朝廷や将軍は株主。普段から味方にする努力をせよ。

〇実印を自分で持っていなければならないというテクニカルなことではなく、取締役から信頼されるように、実績を上げること。信頼こそが会社の実印だ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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