「感涙とどめず、遥か江戸の地より拝し、龍馬かならずこの恩に報うべし、と天地神明に誓ふ」
(解説)
父が亡くなった時に詠んだとされる句である。父である坂本直足(八平)がなくなったのは1855年の事。それ以前は、龍馬は江戸に剣術修行に出ており、1854年6月に15か月の江戸修行を終えて土佐へ帰国した。在郷中、日根野道場の師範代を務めた。また、ジョン万次郎を聴取した際に『漂巽記略』を編んだ絵師・河田小龍宅を訪れて国際情勢について学び、河田から海運の重要性について説かれて大いに感銘。また、この時期に徳弘孝蔵のもとで砲術とオランダ語を学んでいる。
親には感謝しても感謝しきれない。親孝行をする前に自分の父親は他界してしまった。その恩を我が子への無償の愛に帰るという考え方もあるだろうが、きっと大物は、社会という大きなものに対しての恩に変えるのだろう。
起業家は、新しい産業を興すだけでも社会貢献度が高い。そこまでいかなくても、何人もスタッフを雇い入れているだけでも恩返しになる。自分なりの恩返しの方法を考えればよいだろう。それが親孝行であると信じたいところだ。
[教訓]
〇親孝行は直接親にしなくても、社会に対してすればよい。
〇起業家にとっての社会貢献は、新しい産業を生むこと、雇用を生むことである。