「事は十中八九まで自らこれを行い 残り一、二を他に譲りて功をなさむべし」
(解説)
全部自分でできてしまったとしても、8割から9割まででとどめ、1~2割は他人に譲るべし。そして自分の功ともなるが、他人の功ともせよ、ということだ。その結果、功を譲られた方は譲ってくれた方に対して恩義を感じるし、経験や自信にもなる。それが次のプロジェクトのときに高いパフォーマンスを生むことだろう。ちょっとしたことでもプロジェクトを完了させることは、その一員であったとしても大いに自信につながるものだ。それはいずれ組織としても大きな力になる。
そもそも全部自分でできてしまうビジネスは拡張性がない。自分の時間が売上の限界になってしまうからだ。そこで自分の才能を他のスタッフができるように標準化する、もしくはそれをシステムに置き換える、このようにしてより多くのお客様を相手に商売することはできる。現在の多くの企業が取っている手段でもある。
そのうち十中八九が自分ではなく、それがスタッフの役割で、残り1~2割が自分の役割になっていくであろう。それが組織というものだ。究極、仕事はスタッフに任せ、自分はマネジメントだけになる。タスクそのものはスタッフ10割、自分ゼロが究極ではあるが、マネジメントのウェイトは見えないし、数値化が不可能ではある。労力はかけなくても、責任自体は経営者が全部負っているに等しい。
権限を委譲させ、より大きな組織にしていくのもまた、経営者としての責務である。
[教訓]
〇全部自分でやらずに、一部功を譲れ。