「君がため、捨つる命は 惜しまねど 心にかかる 国の行く末」
(解説)
龍馬が越前福井で由利公正を訪れ、宴席で歌った歌である。さて、由利公正とは、福井藩士として、藩札発行や専売制を用いた殖産興業政策で窮乏した藩財政を再建した。長州征伐において、征伐不支持派と薩摩藩や長州藩等雄藩支持の提携を画策したが、指示が得られず謹慎処分となった。そんな最中に坂本龍馬の来訪を受け交流を深めた。ここで新政府が取るべき経済政策について談義した際に、由利公正の新政府への参画へのきっかけとなったと言われる。
明治維新後は、五箇条の御誓文の起草に参画し、徴士参与として金融財政政策を担当。太政官札等の発行などの政策に対する批判が集まり辞職。1871年に東京府知事に就任。1872年に銀座大火が発生し、防火防災都市とすべく、銀座にレンガ造りの建築物を多く立てたり、銀座大通りの幅員を拡張するなど都市改造計画を実行した。さらに1875年に元老院議官に任ぜられ、1890年には貴族院議員に就任する。
龍馬と由利公正があったときには、立会人として藩士が付き添ったにもかかわらず、延々と日本の将来を語り合ったそうだ。考えても観れば、国のお役人のいる前で、国家転覆の話をしようというのだから、度胸が据わっている。ただ、それが日本国のためを思ってこそであった。
「ビジョンのため、捨てる命は惜しくはないが、会社の行く末が気になってしまう。」
このように思えて初めて、会社のリーダーと言えよう。
「ビジョンなんてどうでもいいし、金が欲しい。命も惜しい。稼いだ金で好きなことがしたい。会社の行く末は、自分の懐にたくさんお金を入れるために気になるぐらいだ。従業員も残りたい奴は残ってくれ。金食い虫はいらないよ。」
こんなことを思うリーダーには幻滅しかない。
[教訓]
〇ビジョンのために命を懸け、会社の将来を心配するのが真のリーダーである。