「時勢は利によって動くものだ。議論によっては動かぬ。」
(解説)
利益が生まれそうになる時に、タイミングが発生し、勢いが生まれる。ブレインストーミングやミーティングのような会議が悪いわけではない。しかし議論しているうちに、そのビジネスの良いタイミングが発生するわけでも、勢いが生まれるわけでもない。良いタイミングや勢いはマーケットで起きているのだ。
プロダクトライフサイクルという考え方がある。これは製品が市場に登場してから、売れなくなって姿を消すまでの需要の寿命を示したプロセスの事である。それぞれの段階は次の通りである。
ちなみに導入期=イノベーター、成長期=アーリーアダプター、成熟期=アーリーマジョリティ、飽和期=レイトマジョリティ、衰退期=ラガードという表現もある。
これは一つの商品についてだけでなく、商品の業界全体についても適用することができる。テレビなどの家電、自動車はマーケットの拡大が望めない飽和期の業界ともいえる。
導入期は新しい製品が市場に導入され、消費者に認知される段階のため、認知のために多額の資金が必要になる。新しモノ好きの顧客層に訴えていくことになる。小さな企業は多額のプロモーション活動費用が必要なため、中々厳しいが、競争相手が少ないため、高所得者層に絞ることができれば、勝算がある。
成長期や成熟期は、製品の良さが市場で認知され、需要量が急激に増加する。競合他社も参入してくるため、差別化、ブランド化が必要となる。
飽和期は需要量が頭打ちになる。新しい商品を買う人は少なくなって、買い替えや買い増しをする人が主流となる。市場シェアは価格競争になりがちだ。このとき、顧客がまだ満たされていない価値を探し出せれば勝機はある。
衰退期は需要が少なくなるステージだ。通常は撤退する時期だ。ここでは清本の細分化や新しさを追加できないかを考えてみよう。現在の製品にプラスアルファを加えて新しい市場にできれば、成長期市場へ変えることもできる。
タイミングとは導入期を見つけること、あるいは自ら成長期を創出することにある。後者では議論でその戦略を考え出すことができるかもしれない。
[教訓]
〇タイミングや勢いは、議論の中にはなく、マーケットにある。
〇タイミングとはプロダクトライフサイクルの導入を発見すること、停滞期になってもプラスアルファを加えて、新たな成長期を作り出すことにある。