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仕事なんてプロジェクトベースでいいじゃない

もとの鄭に逃亡して櫟にいた厲公突が人を使って鄭の大夫甫仮をおびき出し、自分を鄭に入れるように脅迫した。仮は「お許しください、私は君のために鄭子を殺して、お迎え申しましょう」と言った。厲公は仮と誓いをして、彼を許した。六月甲子の日、仮は鄭子とその子二人を殺し、厲公突を迎えた。突は櫟から再び都に入って位についた。

それから6年後、前兆のごとくはたして厲公は再び都城に入ったのである。入って伯父の原を責め、「私は国を逃れて外にいたが、叔父上には私を迎え入れようという気等さらさらなかった。無情も甚だしい」と言うと、原は「主君に仕えて二心を懐かないのが、人臣としての職分であります。私は自分の罪を知っています」と言って、ついに自殺した。次いで厲公は甫仮に、「主君に対するそちの仕え方は二心のある者だ」と言って、ついに仮を殺した。その時仮は「重徳(重大な恩恵を施した者)は報いられずとか。誠にそうであった」と言った。

太史公言う、「権利を以て合う者は、権利尽きれば交わり疎し(権勢と利益をもって合同する者は権勢利益がなくなれば交わりも絶える)」とある。

(解説)
脅迫して甫仮に鄭子を殺させて、厲公突は自ら鄭の君主となったが、君主になる段取りをつけてくれた甫仮を殺した。そのときに甫仮は「重大な恩恵を施しても報いられず」と嘆いた。権勢や利益を同じくしているときには重んじて、意味がなくなったら斬り捨てる。リーダーが一番やってはいけない行動だ。

現実的には、プロジェクトベースの仕事はまさに「権勢と利益をもって合同する者は権勢利益がなくなれば交わりも絶える」ともいえる。もちろんその時に参加したメンバーはまたいつか、共に仕事をするメンバーになることもあるであろう。一時的にくっついて、離れ、また別の機会で一時的にくっつくというのは、今後の組織において重要な役割を果たすであろう。ただでさえサービスや商品のライフサイクルが短くなっている時代だ。ワンサービスでその後、ネクストサービスを扱わずに閉じる形態の組織も出て来るであろう。会社自体が、ゴーイングコンサーンを前提として、リーダーは一度関わってくれた人材を未来永劫養わなければならないのは、正直きつくないだろうか。起業は通常ワンサービスで始める。上場しない会社であれば、目的を達成したらその場で解散というのも珍しくはない。

[教訓]
〇ゴーイングコンサーンの会社組織でなければ、メンバーの一期一会もありうる。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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