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経営はバランスにあり

始皇は五徳(木・火・土・金・水)が始めと終わりと相次いで巡るという説を採用し、周は火徳を得ていたので、周に代わった秦は、火徳に打ち勝つ水徳に従わねばならないとした。そして今、水徳が始まるとして、年始を改め朝賀の式を十月に行った。また衣服・旄節・旌旗はみな黒色をたっとび、数は六を基本とし、符節や法冠の長さは六寸、輿は六尺、一歩は六のはじめを示すものとした。さらに黄河の名を改めて徳水といい、これらを水徳のはじめを示すものとした。そして果敢冷静に、全ての事をみな法に照らして決し、厳刻で少しも容赦せぬのが水徳にかなっているとした。

(解説)
五行思想とは、古代中国に端を発する自然哲学の思想であり、万物は火・水・木・金・土の5種類の元素からなると考える。また、5種類の元素は「互いに影響を与え合い、その生滅、相剋という関係によると、水は火を消し止める、と考え、夏→殷→周(西周→東周、春秋戦国時代)→秦であり、周が火であったため、それを打ち消した秦が水であると考えた。また、相生という考え方もあり、これは木→火→土→金→水のように巡っていくとした。

そこでビジネスに置き換えてみると、要素を5つに分類して、それぞれをバランスよく保ちながら全体の循環を大きくすればよいことになる。

会社の組織は、例えば、以下の5つであるとする。マネジメント、ファイナンス、仕入(製造)、広告宣伝、販売。そうすると相生という考え方によれば、トップが計画を立て、資金調達をし、販売量を見越して製造あるいは仕入れて、広告宣伝をして、販売する。次第に売上を上げていくために計画し、同じ循環を繰り返す、というようにすれば、会社は拡大していく。次には相剋という考え方でビジネスを見ていこう。

(a) マネジメントは無駄な仕入や製造をしないようにコントロールする。
(b) どれくらいファイナンスできたかによって広告宣伝がかけられるかが決まる。
(c) 販売(売上)が落ちるとファイナンスがしづらい。
(d) 製造をしなければ、売上を伸ばせない。
(e) 広告宣伝の効果が悪いとマネジメントは頭を悩ませる。

少し強引なところもあるが、相生と相剋という関係でビジネスを見ると、意味があるように思える。要するに要素を分解して、それぞれバランスよく高めていくことが大切だということである。

[教訓]
〇要素をいくつか分解してそれぞれバランスよく高めていくことで会社を成長させて行け。
〇会社が上手く行っていないときは、バランスが悪くなっていると考えられる。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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