世界の歴史を題材とした起業家応援メディア

部下ともフラットな人間関係を築け

将軍としての起は最下級の士卒と衣食を同じくし、横臥するのに席を設けず、外出するのに車馬に乗らず、自ら糧を包んで担い、士卒と労苦を分け合った。おできを病む兵卒があったとき、起は彼のために膿を吸ってやった。その兵卒の母親がこれを聞いて嘆き悲しんだ。ある人が母親に問うよう、「お前の子は、一兵卒にすぎない。しかるに、将軍自らおできを吸ってくれたというのに、何を嘆き悲しんでおるのか」と。

母親が言った。「ただ悲しむのではありません。依然に呉公起があの子の父親のおできを吸ってくれたことがありました。これに感激した父親は敵に後ろを見せないで遂に戦死しました。呉公は、今またあの子を吸ってくれたという。私はあの子が、どこで戦死する者やらと嘆かずにはおられないのです。」

(解説)
社長さんに目をかけてもらうと何かと嬉しい。大会社の社長さんともなれば、本当に忙しい中で、さらに多くの人がいる中で、こんなこともしてくれるのか、というとさらに嬉しくなって、色々なことに気合がかかる。

呉起の人心掌握術は、自分が将軍であるからと言って偉ぶらないこと、最下級の兵士と衣食を同じくし、車馬に乗らず、弁当を自ら包んでもち、職場においては自分も兵士と同じ立場を貫いた。

社長なのだから、もっと裕福な生活をしても文句は言わないのだが、そこをあえて、同じ生活水準でスタッフと接すれば、スタッフも親近感が湧く。社長なのにここまでしてくれるの、ということを探して、スタッフと交流してみると良い。

ベンチャー企業の場合には、必然的にフラットにならざるを得ないし、給与水準も、下手すると従業員の方が高いかもしれない。自分の役員報酬を資金繰りの都合で後回しにしなければならないから。そういった気持ちは非常に重要である。成功すれば、巨額の利益を受けられるという気持ちを社長が持たなくなったら、企業の成長はない。自分が役員報酬を高くとった時点で、成長は終わりと思ってよい。巨額の利益を得たければ、むしろ従業員に高く支払ってやった方が気合が入るというものだ。こいつらよりも高い報酬を得るために、もっと稼ぐぞと。

[教訓]
〇生活水準もなるべく従業員目線で。一人だけ裕福になってはならない。
〇巨額の利益を得たければ、最初のうちは自分よりも従業員の方が高い給料に設定しておくのが良い。従業員よりも高い報酬を得て満足したら、成長が止まってしまう。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
SNSでフォローする