「わしは趙将となって攻城野戦の功があったのに、藺相如はただの口舌の労だけで、位はわしの上に居る。・・・相如にあったらきっと辱めてくれよう」と宣言した。相如はこれを聞くと、務めて廉頗に合わないようにし、・・・廉頗と序列を争うのを避けた。
藺相如は固く彼らを止めて。「お前らから見て、廉将軍と秦王どちらが手強いと思うか」と問うた。舎人らはみな、「それは廉将軍の方が秦王に及びません」と答えた。
そこで相如が言った。「そのような秦王の威力でも、私はその朝廷で秦王を叱咤し、軍神を辱めた。・・・強秦が趙を侵そうとしないのは、ひとえに二人がおるからである。今良虎が戦えば、勢い共に生きることはできない。私が、こうして隠れるのも、国家の急を第一とし、私情を二の次とするからである。」
廉頗はこれを聞くと、「鄙賤のものわたしは、将軍の寛容がこうまでとは知らなかった」と謝罪し、ついに親睦して刎頸の交わりを結んだ。
(解説)
口先だけで秦王を圧倒した藺相如が上のくらいになるのが、気に入らなかった廉頗だが、二人が争うと趙を弱くするため、敢えて廉頗に会おうとしなかった。その理由を知った廉頗は、自分の体に鞭打って、藺相如に謝罪した。そして、私はあなたに首をはねられても悔いはないといったのが、刎頸の交わりである。つまりお互いに首を切られても後悔しない位の仲というのが刎頸の交わりの意味である。
自分のプライドよりは、国家のことを思いやるのが大事。それは会社においても同じである。自分の会社のためならば、個人のプライドなど後回しにしなければならない。それが強固な組織を形作る。会社が大事、私情は二の次、ということだ。特に会社の社長をやると、個人のプライドが先になってしまって、恥ずかしい思いをしたくなくなる。地べたをはいつくばっても、仕事を取って来るようでないといけない。
また、藺相如は秦王が趙の宝物であった「和氏の璧」を求め、十五城を趙に引き渡しても良いと、藺相如に璧を持って来させたが、どちらにしても秦王は十五条を引き渡さないと思っていたから、璧を見せにいったものの、最終的には璧を趙に持ち帰った、それをして趙のメンツも保った。それをして「完璧」な対処をした。これも完璧な語源と言えようか。
「男子の面子、軍の権威、それが傷つけられても、ジオンが勝利すればよろしい。 そのうえで、あなたの面子も立ててあげましょう」とはアニメの台詞である。
[教訓]
〇経営者は自分のプライドなど捨て去れ。ビジネスの成功が第一である。