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敵も味方にするくらいの度量を持て

壇上で成約していると、突然曹沫が匕首をとって斉の桓公を脅迫した。曹沫は「斉が強く魯が弱いので、大国の斉が魯を侵すのだが、いささか度が過ぎる。今や斉の国境は、深く魯に入り込んで国都に迫っている。君には少し考えてほしい」と言った。

そこで桓公は魯から奪った土地を、みな返すことを承諾した。その言葉を聞くと曹沫は匕首を投げしてて段を下った。桓公が起こって約束を破ろうとすると、管仲が言った。「それはいけません。勝利をむさぼって、それで自ら心良しとされるなら、諸侯に信用を落とし、天下の同情を失いましょう。おやりになった方がよろしゅうございます。」

そこで桓公は、ついに魯から奪った土地を返し、曹沫が三度戦って失った土地は、こうして、またことごとく魯に戻った。

(解説)
桓公は、春秋五覇の最初の覇者である。また、管仲は元々桓公を暗殺までしようとしたが、鮑叔が天下の派遣を望まれるならば、管仲を宰相としなければならないとのアドバイスがあり、管仲を許した。

そしてまた、斉の桓公と魯の荘公が会談をしているときに、突然魯の将軍曹沫が匕首で斉の桓公を脅迫した。そして、命惜しさに魯から奪った土地を返すと約束するも、それを反故にしようとすると、管仲から、信用問題になるとアドバイスされ、せっかく戦いで奪った土地を返還してしまう。どこまでも気持ちの大きい君主である。

脅迫されていたのだから、それを反故にしても問題はないと思うのだが、仮にここで約束を守らなければ、脅迫された事実だけは世に伝わらず、単に約束を破った事実だけが世に広まる恐れがある。強いものはあえて忍べ。

[教訓]
〇敵を味方にするくらいの度量を持て。
〇たとえ脅迫されていたとしても、一度した約束はとことん守ってやれ。相手が恐縮するまで。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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