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従業員にいい人になりすぎるのはやめよう

聖人は物事に固泥せず、変転して常度なく、変に応じ時に従い、末を見て本を知り、旨意を見て帰着を知る。

上下が心あわせれば事は長続きし、中外が一体となればことに表裏はないのです。

天下を保ちて恣雎しきせざる、これを天下をもって桎梏となすという。

(解説)
趙高と胡亥のやりとりである。第一段目は、優れた経営者は、拘りすぎない。そして、変化する時代に、自らも変化し、決して時の流れには逆らわない。将来どうなるかを見据えて、今自分はどうすべきかを知る。さらに意図を見て、ある結論を知る。

第二段目は、経営者と従業員、部下と上司が気持ちを一つにできれば長続きする。しかし悲しいかな、これらが気持ちを一つにすることは困難を極める。会社に利益をもたらしても、思ったよりももらいが少ないと思えば、従業員はそれだけでやる気をなくしてしまう。本来、経営者がリスクを負っているのだし、それだけ長くその会社に関わっているのだから、一番もらったっていいのだが、人間悲しいかな、こんなに頑張った結果、なんだ上の懐に入るのかとつくづく考えてしまう。この辺を気にし出したらキリがない。そう思ったら、まずは会社を離れ、自分が彼らよりも儲けられる会社を作るべきであろう。思ったよりも儲からないことも少なくない。そして、自分は会社にいたときのパフォーマンスの方が結果として高かったことに気づかされることも少なくはない。ただ気づくまではわからないのだから、自分でやってみることには価値がある。

また、内外というと会社の内部と外である。外の代表例は顧客、もしくは取引先と言える。それが一体となったときは当然表裏はない。しかし悲しいかな。会社の利益は顧客の損。会社の損失は取引先の得と言ったような関係になりがちである。時と場合によっては、顧客を騙している会社もあるだろうし、競合他社が多ければ、安値合戦のために、価格が低下し、サービスの提供側である会社が損する状況にもなる。これが、月並みだが、お互いにウィンウインの関係になれば、確かに長続きするのであろうが。

第三段目は、天下を支配しながら、ほしいままな行動をしないばかりか、かえって天下のために苦労するのは天下を手かせ足かせとして自分を縛るものということである。経営者だからと言って、全員が銭金儲けが得意なわけでもなく、傍から見ると、お金を稼いできて従業員にばらまいているパターンも少なくない。特に大恐慌のような状況に陥てば、売り上げが激減し、融資で資金繰りを賄おうものならば、結果、経営者が会社の負債を増やしてしまうだけだ。

本来、従業員は経営者の僕であるべきだが、経営者が従業員の僕になってしまう。それはやはり本末転倒である。従い、少なからず、経営者としての威厳と強気は持っていたいものだ。結局、経営者が我慢しすぎたりしたら、会社は持たないという事を忘れないようにしよう。

[教訓]
〇経営者は自らも時代の変遷にあわせ、変化しよう。
〇会社は上下、内外に表裏を作らないこと。みんな同じベクトルに立たなければならない。そうして初めて組織は長続きする。
〇経営者は従業員の僕ではない。あまり従業員にいい顔をしすぎるな。経営者の我慢の緒が切れたら会社が終わってしまう。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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