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運を天任せにするな

「惟れ命は、常においてせず」とあります。これは幸運はいつも手中にあるとは限らないという意味であります。そもそも暴子(魏将暴鳶)と戦って勝ち、八県を割かせたというのも、兵力が強かったためでも、また計略が巧みだったためでもありません。天幸が多かったのであります。

(解説)
さて、魏の大夫須賈(しゅか)が穣侯に言った言葉であるが、これには元ネタがある。「康誥に曰く、惟れ命常に于てせずと。善なれば則ち之を得、不善なれば則ちこれを失うを道う。」

これを現代語訳にすれば、康誥篇には、君主が天命を受ければ、何時までも一定にして動かぬものと思うのは誤りでである。君子が善を為していれば天命を得るのだが、不善を為すようになれば、その天命は脆くも失ってしまう、とある。

経営も全く同じで、経営者が天命を受ければ、その天命がいつまでもそのままで、達成されるまで、運が向いているわけではなく、正しい行いをしていればよいのだが、正しい行いをしていなければ、その天命はいつかはなくなってしまうのである。

正しい行いとは、顧客ニーズに合致した行いと言う意味である。善悪判断における善とは少し意味が異なるが、顧客を騙して稼ぐような方法では、顧客ニーズとは合致しないことになってしまうから、倫理的な「善」とほぼ同義ということができよう。

成功とは、確かに力量や戦略もあるが、運にも大きく左右される。力量や戦略がどんなに優れていても運には勝てない。それでは力量や戦略等どうでもよくて、運だけに依存すればよいかと言うとそれもまた異なる。常に運が良いとは限らないことを前提として、力量を磨き、戦略を整えることこそが有用である。そこに運が加われば鬼に金棒である。そしていつも幸運でないことを前提として、力量を磨き、戦略を練ることが重要だ。

要するに運を天任せにするなという事だ。あまりにそういう人が多すぎる。店を開いたら客が来る。会社を始めたら利益が上がる。あほかと。そんなことよりも店を開いたら集客をせよ。会社を始めたら集客をせよ。どのように集客をすればよいかを考えろ。その考える力こそが力量であり、そして戦略である。

[教訓]
〇運を天任せにするな、力を磨き、戦略を練よ。
〇幸運はいつも自分の頭の上で輝いてはいないことを前提として動け。
〇幸運はあったらラッキーぐらいに思っておけ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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