世界の歴史を題材とした起業家応援メディア

表面的なことに騙されるな

項羽が「わしは秦軍が趙王を鉅鹿に包囲していると聞いているが、はやく兵を率いて黄河を渡り、楚軍が外から趙軍が内から応戦すれば、きっと秦軍を敗れると思う」というと、宗義は「そうではない。手で牛をうっても、上にとまった蝱(あぶ)は殺せるが、中の蝨(しらみ)は殺せない。今秦は趙を攻め、もし戦いに勝っても兵は疲れるだろうから、我が方はその疲れに乗ずるのが良く、勝たなければ兵を率い、鼓を打って堂々と西に向かえばよい。きっと秦を破ることができよう。だからまず秦と趙を闘わすのが何よりの得策である。・・・」

(解説)
要するに表面的な事象に左右されず、物事の本質を突けば、成功するということだ。とはいえ、どのように物事の本質を見抜けばよいのであろうか。

そのときは一番いいと思って選択していることが、ことごとく失敗するのが人生。人を信用しきったら騙され続けるのもまた人生。こういう人に限って、物事の本質を見抜けていない人なのだ。

(a) 考えすぎる
直感は案外当たる。というのは、我々の遺伝子は何億年物情報集積体であって、そこに過去の成功や失敗体験が凝縮されている。考えなさすぎは良くないのだが、考えすぎると雑念が入り込んで、そこに己の現在の欲望が自分の直感を押さえつけてしまう。だからまず迷ったときには考えすぎるよりも本能的な勘を信じた方が良い。歴史から学ぶことが良いと言われているのは、人類の情報集積体そのものだからだ。そこには過去の成功や失敗が凝縮されている。自己の遺伝子を主観とするならば、歴史はまさに客観なのである。

(b) 表面上の文字を信用しすぎる
人から聞いた言葉を鵜呑みにするほど危険なことはない。その言葉が本当にあなたの事を思って言っているとは限らないからだ。少なくとも話者のフィルターが入っているし、自己の利益を追求しようと悪意で言葉を発することもある。また、人からだけでなく情報化社会ではありとあらゆる情報があふれており、中には誤った情報も多い。あくまでもその言葉の背景にある詳細なデータや検証結果、実績値を抑えておかなければ、その情報の信ぴょう性は欠ける。また、人は自分に都合の良い情報だけを抽出しようとしてしまう。だから、むしろ自分に不都合なことであっても、積極的にデータを収集する癖をつけるべきだ。

(c) ポジティブすぎ
物事は何事もポジティブに考えていれば、物事が好転するわけでもない。大丈夫、成功するという根拠のない自身にとらわれていては物事の本質に到達することはあり得ない。ときにはネガティブ思考で、ポジティブ思考を破壊しなければならないこともある。むしろなぜポジティブに考えるに至ったのかと言えば、何かに不安があるからだ。それではその不安をどのように解決しようかを考えるべきだろう。

(d) 周りに左右されすぎる
周りがやっていることが正しいとは限らないので、自分が根拠をもって正しいかどうかを判断する癖をつけよう。皆がなぜそれを正しいと思ってやっているかについて考察しなければならない。理由があればいいのだ。しかし理由がなくて周りに左右されすぎるのは不幸の始まりである。

[教訓]
〇考えすぎるな
〇表面上の文字を信じすぎるな
〇ポジティブすぎるな。たまにはネガティブに考えてみろ。
〇周りに左右されすぎるな。自分の根拠を持て。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
SNSでフォローする