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売上は急激に拡大しすぎるな。必ず負の部分を背負っていることを知れ。

趙禹は言った。「わしは、『将門の下には必ず将類あり』と聞いています。古伝にも『その君を知らざれば、その使うところをみよ。』とあります。今詔が下って、将軍の舎人を推挙させるのは、それで将軍が賢人や文武の士を得たかどうかをみようというのです。今悪戯に金持ちの子弟を選んで奏上するのは、知恵のない事であり、あたかも泥人形に綺羅錦繡を着せたようなものです。そんなことでどうしようというのですか。」

月は満つればすなわち欠け、物盛んなれば即ち衰えるのが、天地の情動である。進むことを知って引くことを知らず、久しく富貴に乗ずるなら、禍は積って祟りを成すだろう。

(解説)
前段を考えると、経営者を知りたければ、その部下をみればいいということになる。もちろん大組織になってしまえば、末端の従業員を見ても、経営者を知ることができるとは限らない。せめて役員クラスであって、経営者が直接育てた人材でなければ、わからないと思われる。

経営者が経営者ならば部下も部下ということが多い。経営者が約束を守らない人物であれば、部下も約束を守らないようになる。それで経営者が部下に約束を守らせようと思っても上手くはいかない。部下に言うことを聞かせようと思ったら、最初に経営者が約束を守らなければならない。そして部下の生活を保証しなければならない。その辺を横において置いて、自分の給料は自分で稼いで当たり前だという態度でいれば、部下は反発しかしない。

部下の能力が満たないと思ったら、それはまず経営者が経営者としての職責を果たさないためだ。もっと言えば経営者としての経営能力を欠くからである。人の振り見て我が振り直せとはよく言ったものである。部下に義務を果たせせるためにはまずは経営者が義務を先に果たすことが重要だ。そこから説教を始める分に良いだろう。

後段はまさに栄枯盛衰である。月は1か月に一度満月になる。そして後は欠けてしまう。物も盛んなことがあり、そのうち衰える。それが一種の法則である。必ず良いときと悪いときがあるのだ。経営も常に進むだけであれば、どこかで大きくコケる。そのため進むことと引くことをバランスよくやることが必要であって、それが長く経営を行う秘訣と言える。売上拡大の一辺倒ではならない。売り上げを拡大する半面、必ず負の部分も背負っていると考えた方がいい。その負の部分が突然、会社の基盤を破壊することもある。じっくりじっくりと売り上げを拡大するのがよい。

[教訓]
〇部下が言うことを聞かなければ部下が悪いのではない。いう事を聞かせられない経営者に何か落ち度があるとまずは考えよ。自分以上の優秀な部下は自分では育てられないのだ。
〇会社にも勢いがある。しかし売り上げ拡大一辺倒で引くことを知らないと、どこかで足元をすくわれる。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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