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業務の蛇足が無駄に仕事を増やす

秦が斉を攻め立ててので、斉王はこれを憂えた。たまたま陳軫が秦の使者としてと斉に来た。斉王が「どうしたらよいだろう」と相談すると、陳軫が「王よご心配はいりません。攻撃を辞めさせて御覧に入れましょう。」と言い、早速出かけて昭陽と陣中に会見して言った。
「楚国の方をお聞かせ願いたいのですが。敵国を破り、敵将を殺した者には、どのような官職を褒美とされるのでしょうか。」
「その官を上柱国とし、爵を一級上せて執珪に封じます。」
「それ以上の高い位がありましょうか。」
「令尹です。」
「ではあなたは既に令尹ですから、楚の最高官です。一つの例えをもって私に言わせてください。ある人が舎人たちに大杯に一杯の酒を与えました。舎人たちが相談し、数人でこれを飲み廻しても、皆に行き渡らないから、地面に蛇を欠いて一番早く描けた者が、一人で飲むことにしようと決めました。一人の者が『俺の蛇が一番だ』と叫び、酒を手にして立って言いました。『おれはこの蛇に足をつけてやろう』と。足が付けたされたとき、次に蛇を描き上げたでゃが、その酒を奪い、飲んで言いました。『蛇には足などあるはずがない。足をつけたしたから蛇じゃない。』と。さて、今、あなたは、楚の宰相として義を攻め、軍を破り賞を殺し、これ以上の功労はありませんが、またこれ以上の高位にのぼりようもありません。それにもかかわらず、今また兵を移して、斉を攻めておられますが、斉を攻めて勝ったとて、官爵はこれ以上に加わりません。もし勝てなければ、身は死し爵は奪われ、楚でそしられましょう。これは蛇を描いて足をつけるのと同じことです。兵を率いて帰り、斉に恩徳を施すに越したことはありません。これは満を持する術であります。」昭陽は「なるほど」と言い、兵を引き上げて去った。

(解説)
日本人は残業が多いというが、実は過サービスがその大半の原因となっている。必要以上に顧客サービスをして、それで時間がないと言っている。顧客によっては、上記のように別に蛇に足なんかいらないと思っている人が多いのに、足を書き足してしまって、当社の顧客サービスは素晴らしいと自画自賛している。そんな暇があるのであれば、さっさと帰宅した方がいい。無駄な会議も日本人は好きだ。さらにホウレンソウ(報・連・相)という、いちいち報告もしなくていい途中経過も要求する。報告するための仕事がまた増える。途中経過は部下が仕事に詰まっているときの助け舟として上司は知ればいいだけで、途中経過なんて正直どうでもいい。結果がよければすべてだ。途中経過の努力で評価しようとするからそうなる。結果だけで評価するような姿勢を会社が持たなければならないだろう。もちろん新人さんについて、別の考え方も必要だ。仕事が慣れていないし、上司に、スタックしている仕事をアドバイスを受けることもできないことがあるから。もし悩んでる時があれば言ってくれ、サポートするよ、と上司は常々言っておけばいい。少なくとも仕事が忙しくて、今聞いてくれるなという態度はよくない。

しかし世の中には蛇足ばかりなのだ。蛇足さえ減れば、相当残業は少なくなるに違いない。

[教訓]
〇残業のほとんどが蛇足の仕事で生まれる。
〇必要に応じて会議とか、必要に応じて報連相とかの癖を組織につけろ。必要のない会議や報連相という、意味のないことはするな。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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