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気持ちはいつも王道を

ここで秦は初めて天下を統一した。秦王は丞相と御史に令して言うよう、「かつて韓王は秦に地を納れ、印璽を呈して、藩臣にならんことを請うた。わしはこれを善しとし、これに由って兵革のやまんことをこいねがった。しかるに韓は間もなく約に背き、趙・魏と連合して秦に背いたので、秦は兵を興し韓を伐って王を虜にした。その後、趙王は、宰相李牧を遣わして秦と盟約したので、質子を帰したところ、やがてまた盟約に背いて、太原で謀反を起こした。だから秦はまた兵を興して、これを攻め、王を虜にした。魏王も始め服従して、秦に入らんことを約したが、やがて韓・魏とはかって秦を襲おうとした。だから秦軍は攻めてこれを破ったのである。荊王も青陽以西を献じながら、盟約に背いて我が南郡を撃った。だから出兵して、その王を生け捕りにし、荊の地を平定したのである。燕王は昏乱し、太子丹がひそかに荊軻に命じて、わしを害しようとしたので、出兵して燕を攻め、その国を滅ぼした。斉王は后勝の計を用いて秦と絶ち、乱を為そうとしたので、これを攻め、王を虜として斉地を平定した。」

(解説)
秦の始皇帝である嬴政は、紀元前230年に韓を、紀元前225年に魏を滅ぼした。紀元前223年に秦の将軍王翦が楚を滅亡させ、紀元前222年に趙と燕を滅ぼし、紀元前221年に斉を滅ぼし中国を統一した。全ての国を攻めた理由は約束を破ったからである。

550年の戦乱に終止符を打つ、つまり平和な国家を作るためには、戦争をしなければならない(あるいは抑止力を持たなければならない)というのは人類に課せられた永遠の足枷なのだろうと思う。平和は願わなければならないが、望んでいるだけでは訪れないのが現実だ。

所詮、嬴政のやってきたことは覇道である。刃向かってくる者を攻め滅ぼさなければならなかったのだ。しかし、いくら覇道とはいっても、王道としての理由付けが必要だ。それが、常に、私は戦いがやむことを願った。しかし裏切った、謀反を起こしたから攻撃したという理由であった。やむを得ず攻めたというのが王道といえる。

ビジネスにおいても、そうそうきれいごとばかりはいっていられない。パートナーの裏切り、顧客のとんでもクレーム等、経営をしていれば、人間不信に陥るような状況のオンパレードでしかない。そのような対処には王道ばかりではなく、時には覇道的対応を迫られる。しかし、気持ちだけは王道でいよう。騙すよりはだまされる方が、どれだけ楽かわからないのだから。

[教訓]
〇気持ちはいつも王道を貫け。
〇相手次第では覇道的手段もやむなし。しかし理由は王道を貫け。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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