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先行者利益を獲得せよ

秦の始皇帝が会稽に遊び浙江を渡ったとき、梁と籍はともに始皇帝を見た。籍は「彼にとって代わりたいものだ」と言ったので、梁は籍の口を蓋い、「みだりなことを言うものではない。一族皆殺しだぞ。」と言った。しかし、このことがあってから、梁は籍を奇傑とした。

秦の二世の元年七月に陳渉らが蘄県の大沢中から兵を挙げた。その九月、会稽の守道が梁に「江北が皆叛乱を起こした。これは天の秦を滅ぼす時期が来たのだろう。『先んずれば人を制し、後れれば人に制せられる』という言葉があるが、わしは兵を興して公と桓楚を将軍にしたいと思う」と言った。

(解説)
大物は大物を最初から越えようとする。我々凡人は、だいたい憧れる人を想定して、その人のようになりたいと思う。目標とゴールがその憧れる人なのだ。だが、その人と同じようになったら、その先どうするのだろう。しかし凡人はその先なんて考えていないから、大抵あこがれの人物に追いつくことすらできずに終わる。

それ故、最初からゴールを超えることを考えなければならない。マラソンで42.195kmがゴールではダメなのだ。みんなが42キロしか走らないのなら、自分は100キロ目指す。それがビジネスではないか。決められたルールの中で最大の結果を残すというのは、雇われ人根性でしかない。大物はマラソンのルールを決める方にならなければならない。上記での秦の始皇帝はルールそのものである。

始皇帝の死後、末子の胡亥が二代皇帝として即位した。そして209年7月に、当時兵士であった陳勝と呉広が反乱を起こした(陳勝・呉広の乱)。ここで守道が梁に行って言葉が『先んずれば人を制し、後れれば人に制せられる』。ビジネスにおける鉄則だ。

新しい事業やマーケットを切り開いた先駆者は、先行者利益というメリットがある。その本質は、消費者のマインドシェアをとれるところにある。この商品と言えば、当社というように、その市場のパイオニアとして認知されれば、後発者が出てきても、当社の二番煎じだ位に思ってもらえる。そうすれば、市場が拡大し、さらに当社の認知度が高まっていくことになる。そしてこれは一度形成されるとそれを覆すのは容易ではない。そのために1日でも早くマーケットシェアを取り、ユーザーや消費者の認知度を高めて、マインドシェアを確立するのが良い。それが『先んずれば人を制し、後れれば人に制せられる』ということなのだ。

[教訓]
〇先行者たれば人を制し、後発者であれば逆に制せられる。
〇先行者利益の最大メリットは、消費者のマインドシェアを獲得することにある。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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