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天才も時流に乗らねば成功しない

孔子が周に行ったとき、老子に会い、礼について質そうとすると、老子は言った。「君が慕う上古の聖人も、その身はおろか骨さえ朽ち果てて、今はただ虚しい言葉を残すだけである。とかく君子は、時を得て用いられれば馬車に乗る身となり、時を得なかればさすらいの身となるもの。『良賈(商売の上手なちゃんとした商人)は品物を奥深くしまいこんで、外見は虚しいように見え、君子は、優れた徳を身の内深く備えて、外貌は愚かなように見える』と聞いているが、君の高慢と多欲ともったいぶりと迷いの念を取り去り給え。それらは君に何の益もないもの。私が君に言いたいのは、ただこれだけである。」

孔子は辞去して弟子に言った。「鳥ならばよく飛び、魚ならばよく泳ぎ、獣ならばよく走ることは、私もよく知っている。走るものは網を張って捕え、泳ぐものは糸を垂れて釣り、飛ぶものは矰(糸をつけた矢)をもって射落とすことができる。しかし龍にいたっては風雲に乗って天に上がると言おうか、全く、つかみどころがなかった。」  

(解説)
天才とは、何か一つの事に特化したときに才能を発揮する人物であるが、天才だからと言って、必ず大成功を収められるわけではない。上にある様に、「時を得て用いられれば馬車に乗る身となり、時を得なかればさすらいの身となる」のが現実である。

つまり、その特化した何かが、時流に乗っていなければ、永遠に世の中に浮上することはない。普通の人と同じことをやっていたら、恐らくどんな天才であれ、凡才と評価されてしまうことにしかならない。

この世には努力しなくて済む天才はいない。世の中で成功している人は、なんらかの努力をしている。むしろそれだけ何かに時間をかけている。そのかけた時間が意味のあるものであり、かつ時流に乗れば、一気に花が咲く。こうなると、本当に運でしかない。

本当に成功するリーダーは、見栄えに拘らず、商売の中身で勝負できる。高慢と多欲、もったいぶり、迷いの念がビジネスを失敗させる原因となりうる。

そして孔子の老子に対する感想は、「つかみどころがない」。競合相手からはなぜ優れているのか、つかみどころのないビジネスの方が上手く行くだろう。究極真似られないから価格競争にならない。

[教訓]
〇天才も時流に乗らねば成功しない。
〇競合相手につかみどころがない方が、価格競争にならないため成功する。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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