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持つべきものは自分を良く知るビジネスパートナー

管仲は言った。「かつて私が困窮していたころ、鮑叔と共に商売をしたが、利益を分ける時、私は分け前を多くとったのに、鮑叔は私をどん欲だとは思わなかった。私の貧乏を知っていたからである。かつて私は鮑叔のために事業を企てたが、失敗していよいよ困窮したのに、鮑叔は私を愚か者とは思わなかった。時に利・不利があることを知っていたからである。かつて私は三度仕えて、三度とも君から逐われたが、鮑叔は私を無能とは思わなかった。私がときの利に合わなかったのを知っていたからである。かつて私は三度戦い、三度とも破れて逃げ出したのに、鮑叔は私を卑怯とは思わなかった。私に老母のあるのを知っていたからである。公子糾の敗れたとき、同僚の召忽は戦死し、私は幽閉されて辱めを受けたが、鮑叔は私を恥知らずとは思わなかった。私が小節を恥じず、功名を天下に顕せないのを恥としたのを知っていたからである。私を生んでくれたのは父母だが、私を知ってくれるのは、鮑叔である。」

(解説)
能力が高いからと言って、世の中で十分に活躍できているとは限らない。特に氷河期世代は、活躍の機会すら与えられなかった人たちが多いのだが、その人たちが40代に突入し、場合によっては50代近くになり、何百万人も日雇いとか派遣をやっているのが、この国の姿だ。現実的にはポテンシャルが高くても、もう年を取ってしまうとさすがに厳しい。

日雇い派遣以外でも、正社員になっても能力以下の仕事しかさせてもらえない人はどれだけいるのだろう。能力があるからと言って、そう簡単には這い上がれない。政府の支援策も正直たかが知れているから、自助努力で何とかするしかない。このコロナウィルス騒動で政府がまるで助けてくれないのことを目の当たりにできた人は多いだろう。

こういうときにこそ、管鮑と鮑叔のような関係の人物がいると心強い。この二人の頭文字を取って、「管鮑の交わり」という。これは「お互いに理解しあっていて、自分たちの立場が変わっても壊れることのない友情」を意味する。このような関係は、非正規雇用の間や、サラリーマン同士では中々築くことができない。今の時代、起業は大変ではあるものの、いざという時に頼れるビジネスパートナーを見つけるには、起業家同士の関係から見つけ出すのが早い。お互いに、自分自身で責任を果たそうとしているし、苦労も分かち合える。正社員になりたい系は所詮他人依存型である。パートナーとはお互いに協力関係にあるが、依存することはない存在だ。どちらがかどちらかに依存している状態では関係は長続きしない。だから、自己責任を当たり前として生きる起業家は、依存型ではない。だからこそお互いが真に分かり合え、管鮑の交わりの様な関係を作りやすいのである。

しかし、コロナウィルス騒動で政府のせいにして、何でもかんでも助けてもらおうとする(もちろん限度はある)、売上が立っていないのに経営者に給料を払えという、そういう依存型の人間は最終的には信用はされない。自分で責任を取れる人間になって初めて、良きビジネスパートナーに巡り合える。

[教訓]
〇大変なときこそ、持つべきは自分をよく理解してくれる友である。
〇自己責任で他人に依存しない人同士でないと管鮑の交わりは築けない

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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