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発言すれば実現する

昭王の七年、樗里子が死んだ。渭南(陝西・咸陽)の章台宮の東に葬られた。その生前に言うよう「私の死後、百年たつと、天子の宮殿が私の墓を取り巻くだろう」と。漢が興るに及んで、墓の東に長楽宮、墓の西に未央宮が築かれ、墓の正面に当たって武庫が置かれた。

ある貧しい女が、金持ちの女と一緒に麻を績んでいた。貧しい女が『私には燭を買う金がない。幸いに、あなたの燭は有り余っている。私に燭光を分けていただきたい。あなたの明るさを減らさないで、私が便利を受ける』といった。

(解説)
樗里子(ちょりし)とは秦の恵文王の弟である。また、甘茂とは秦の武将で樗里子の推薦で恵文王に仕えた。恵文王の死後、太子武王が立ち、そのときの右丞相を樗里子、左丞相を甘茂が務めた。

第一段落は、樗里子の一種の予言である。そのときは既に秦ではなく、漢の時代になっての話だったが、予言とはしてみるものだ。予言は実現する可能性だってある。樗里子としては、秦が中華統一を果たすイメージをしていたと思われる。その成功イメージが大切だ。そうでなければ今、大変な思いをして頑張りきれないからだ。大変なときこそ、成功をイメージせよ。喜びを先取りすれば、どんな辛い時期も乗り越えられる。

自分もスポーツ施設を運営しているときに、開始から半年間は赤字だったことがある。しかしオーナーに半年で黒転しますと宣言し、毎週やってくるたびに心配され、半年で黒転しますと言い続けたことがある。そしてそれは現実のものとなった。もちろん言っているだけではダメで、どうすれば黒転するかを考え行動しなければならない。だからまずは発言することが大切だ。

第二段落は、ある者が秦の昭王に甘茂について讒言し、危機的状況にあったところ、斉の蘇代に助けてもらったときに、蘇代に言った言葉である。火のように、ろうそくが消えるまでともされるようなものであれば、その火をおすそ分けしてもらっても、上げた方は痛みがない。経営者が常におすそ分けできる状況とは限らないが、おすそ分けできる状況下にあった場合には、それくらいの余裕を持つのが経営者としての役割であろう。お金をタダで上げればいいと言っているわけではない。より多くの仕事を創り出し、困っている人に仕事を出して上げるのだ。

常に仕事のネタは有り余るぐらいに抱えて置き、色々な人に未来を与えよう。それが経営者である。

[教訓]
〇発言すれば、実現する。
〇仕事のネタを有り余るぐらい抱えて置き、色々な人に分け与えよう。経営者は常に心の余裕が必要である。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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