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社長だからと言って会社の利益を独り占めするな

大夫の芮良夫が厲王を諫め「これでは、王室が卑しくなりましょう。かの栄公は利を独り占めにするのが好きで、それからかつ大難を知りません。利は百物の生ずるところで、天地の上に支えられるもの、これを独り占めにすれば、必ず害が多いのです。天地の支える百物は、皆が得ようとするもの、どうして独り占めして良いものでしょう。それを独り占めするのは、ただ怨み怒る者を多くするだけで、しかもそれから起こる大難に備えないのです。こんなことを王にお教えすれば、どうして長く王位を保てましょう。人の王たる者は、利を導いて上下に布き、神人百物が中和を得ないことの内容にしても、なお日に競々として、恨みを受けるのを畏れねばならないものです。だから頌に、『ここに文なる后稜、よくかの天に廃して、我が蒸民を立つ。なんじの極にあらざるなし』といい、大雅に『陳き錫うて周を載す』とあるのです。これこそ利を上下に布いて、なお難を恐れるものではないでしょうか。だから周の政道が翌今日に至っているのです。いま王が利を独り占めにすることを学ばれて、それでよいものでしょうか。匹夫で利を一人占めにしても、なお盗といいます。王の身でそれをなされば、帰服する者がなくなりましょう。もしも栄公が用いられるなら、周は必ず滅びます。

(解説)
社長のおかげで会社は儲かっている。そのビジネスモデルあるいは稼ぐネタを作ったのは社長。だから社長は役員報酬を丸儲けしていいという理屈は一見正当に見えるが、スタッフは必死に働いて、社長だけが妙にいい思いをしていたら、スタッフはそのうちやる気を失うだろう。スタッフは代わりなんていくらでもいるから出て言ってもいいんだよという態度だと、見事に優秀な人からオサラバしてしまう。最後まで残るのはどんなこと言ったってしがみついた方がましな人たち。能力的にはたかが知れている。少なくとも、社長の次世代の経営者はその優秀な人の中からは出てこない。現社長が退任すれば、次の世代ではアウトという結末が見えてきている。ひょっとすると現在の社長の在任中に地獄を見ることにもなりかねない。

利益の元ネタを作った社長は偉い。でも元ネタを使って、利益を出しているのがスタッフだったとしたら、社長が利益を独り占めするのは、スタッフのモチベーションを下げることになる。上の文章では、それを「盗む」と表現している。リーダーがそのような行為をしてしまったら、誰も従わなくなってしますだろう。

リーダーは人が付いてくるからリーダーなのだ。

[教訓]
〇社長が利益を独り占めしようとするのは、実は会社の利益を盗む行為と同じこと。
〇スタッフのモチベーションアップを重視せよ。彼らが利益を生んでいるのだから。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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