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リーダーは言ったことに責任を持て

成王が叔虞と戯れていたとき、桐の葉を珪の形に切って叔虞に与え、「これをもってお前を封じよう」と言った。このことから、太史の佚が吉日を選んで叔虞を封ずるように請うた。成王が「わしはあれと戯れていただけの事だ」というと、佚は、「天子に戯言ということはございません。天子が一言を言えば、史官はそれを書き記し、礼によってそのことを行い、楽によってそのことをうたうのでございます」と答え、ついに叔虞を唐に封じた。

(解説)
叔虞は周の成王の弟にあたる。そして叔虞は晋の前身である唐の創始者。一言で言えば、リーダーは発言に責任を持ち、実現させよ、ということになる。上記例では戯れたときに君主が弟に国に封じようと軽い気持ちで発言して、約束でもなかったのだが、周りの者が聞いており、発言通りにということで、弟を唐の君主とすることになった。

リーダーになると、その一言は責任を伴うから、安易に発言すべきではない。思ったことを口にする癖がついてしまうと、自然と考えも浅くなってしまう。だから一度口にしたことは責任を持ち、後から意見を変えないという癖をつけることが大切だ。このようにすれば、決断力と責任能力を養うことができる。

何よりも安易に発言したことを実現しないと、部下からの信頼度が落ちる。またかよ、どうせ言っただけだろ、なんて思われたら、部下が本気に動こうとしなくなる。

もう一つは、リーダーとは呼ばないが、会社の経営者にたまに見受けるのが、虚言癖である。本人は自信をもって発言するので、最初の内は周りの人間が騙される。何度も繰り返し、その発言によって結果が伴わないと、周りの人が騙されないようになる。新しい人が接触したときは注意が必要なのだ。恐らく本人は人を騙しているという感覚がない。しかし世間的には詐欺ということになってしまう。自分は何々ができると言ってしまって、お金を受領し、それができずに、詐欺で訴えられるのである。

虚言癖の人は、起業家が失敗を重ね、借金をし、その返済のプレッシャーに耐えられなくなるうちに、嘘をつくようになり、いつのまにか現実と空想の世界がごちゃごちゃになってしまう、一種の自己防衛反応であると考えている。しかし、心理学者が言うには、虚言癖は幼少期から始まっていることが多いらしい。うそ発見器で調べても脳の動きなど嘘をついているときの反応が出ないのだという。

起業家は、元来、人よりも上に立ちたいという気持ちが強いから、自分のビジョンが実現できないときは、虚言癖になりうる可能性を秘めている。上に立ちたいという気持ちは大切だが、あまり大きなビジョンを持ちすぎない方が良いのではないだろうか。

周りの人としては、身近に虚言癖の人物を置かないことに限る。それに気づくまで人生のペースが乱される。そういう人を見つけたら、可哀そうだなと思って去ればよい。

[教訓]
〇リーダーは自己の発言に責任を持て。
〇リーダーは軽々しく発言をするな。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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