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人心掌握術の剛と柔

人君は、常に至正の道を敷衍した言葉を遵奉し、これを教訓とすれば、天帝の思し召しにかなうのであります。また庶民は、至正の道を敷衍した言葉に服従し、これを実行すれば、天子の成徳の光輝を増すことでありましょう。こうして、『天子は民の父母となり、もって天下の王となる』と言われるのであります。三徳とは、その一は正直であり、その二は剛克であり、その三は柔克であります。穏やかで素直な場合は、正道と以て治め、強くて従順でない場合は、剛と以て治め、温和で従順な場合は、柔を以て治めます。しかし引っ込み思案の過ぎるものには、剛をもって引き立て、向う意気の強すぎるものには、柔を持って制します。

(解説)
人は三つの徳を持つべきで、まずは正直で公平、強い意志を持ち、人に対して優しく接することである。自分もそうだが、他人が徳を持っているかどうかを判断する場合にもこの三つの基準は重要と言える。

正直とは、日本人の伝統的な徳目の一つである。心が素直で清らかなこと。いつわりがないことである。石田梅岩という江戸時代の思想家は、正直を商人の道をなす中心的な徳目として掲げ、正当な方法で利益を上げることを言い、「先も立ち、我も立つ」という互助の精神を説いた。顧客も立ち、会社も立つのである。顧客を騙すような方法でお金を出させ、会社がその分利益を上げてはならない。会社に巨額の利益が出るようであれば、顧客への還元を考えるべきである。

剛克とは剛をもって勝つの意味。相手がいい気になっていたり、従ってこないような場合には強く攻める必要も出てくる。組織において、上司が聞き分けのない部下に対して、強制的に従わせるのもこの方法による。また、引っ込み思案の部下に対しては、気合を入れる意味で強く接することも大切である。加えて、強い意志を持つという意味に解釈することもできる。特に、経営者として、上手く行かない状況に陥ったときに、決して弱気にならず諦めない気持ちを持つことが成功への道である。

柔克とは柔をもって勝つの意味。相手が元々温和で従順な場合には、強く言い聞かせる必要はない。こちらも優しく接すればよい。もう一つは、相手がケンカ腰で向かってくるような場合、一度軽く相手をいなすために、こちらは優しく受ける必要が出てくるだろう。そうして次第にこちらのペースに巻き込んでいく。上司に対してケンカ腰なのも困るが、時と場合によってはそのような状況に陥ることもある。

剛と柔の上手い使い分けが、リーダーに求められる。

[教訓]
〇三徳とは、正直、剛克、柔克。
〇剛と柔の上手い使い分けがリーダーに求められる。人心掌握術である。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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