子撃が「富貴な者が人に傲り高ぶるのでしょうか。それとも貧賤な者が人に傲り高ぶるのでしょうか」というと、子方が言った。「貧賤な者だけが人に傲り高ぶることができるのです。諸侯であって人に驕れば、その国を失い。丈夫であって人に驕れば、その家を失います。貧賤な者は、行いが主君の意に合わず、言葉が主君に用いられなければ、去って楚や越に行くのさえ、草履を脱ぎ捨てるように容易です。どうしえ富貴な者と同じでしょうか。」
(解説)
おごり高ぶる人は、守るものが何もない人である。その会社に在籍したいという意思の強いサラリーマンは上司や会社に従順であるが、別にやめてもいいと思っていればおごり高ぶることができる。上記の「行いが主君の意に合わず、言葉が主君に用いられなければ、去って楚や越に行くのさえ、草履を脱ぎ捨てるように容易」とある。会社のリーダーはお客様にそんな対応なんてできやしない。お客様は神様とまで卑屈に思わなくてもいいが、お客様を、草履を脱ぎ捨てるように扱うわけにはいかない。つまりリーダーにとってみれば、会社や顧客のネットワークという守るべきものがあるのだ。
中には守るべきものがあるはずなのだが、社長でおごり高ぶっている奴がいる。社長にとって守るべきはお客様の他に、会社そのものや従業員も含む。しかし従業員に傲り高ぶっている。これは従業員には代わりはいくらでもいるという態度だ。正直、こういう奴は従業員の方から、お前の代わりもいくらでもいると思われている。まさに草履を脱ぎ捨てるようにバイビーだ。
取引先に対してもぞんざいに扱い奴もいる。なんでこんなに偉そうなのか、すごく不思議だ。大抵こういうリーダーもどきがトップにいる会社等、たかが知れてしまうし、10年存続することはかなり稀である。これからの時代は、もっと生き残るのが大変になってくると思われる。悲しいかな、会社が従業員を選ぶ権利はあるが、逆に従業員から会社が選ばれる時代になっている。もちろん、市場価値の高い従業員に限る。
守るべきものがあると謙虚になれる。しかし残念ながら、人間というものは、権力や財力を持ってしまうと、どうしてかおごり高ぶるようになってしまう。守るべきもののタガが外れてしまうのだろう。そういう人間は、我々一般人よりは、守るべき最低限のものを確保できてしまうからだ。こういう奴から税金を取った方がいいな。驕り高ぶり税だ。
[教訓]
〇守るべきものがあるリーダーはおごり高ぶってはならない。