「燕軍が捕虜となった斉兵の鼻を斬り、これを陣頭に立てて、攻撃しはしないかという事である。そうすれば死期が衰えて、即墨が敗れよう」と。
燕軍はこれを聞くと、宣伝の通り実行した。城中の人々は、敵に捕らえられた斉兵が、全て鼻を斬られているのを見て、みな憤って固く城を守り、ひたすら捕虜となるのを恐れた。田単は、またも間諜を放って、「わしは燕兵が、わが城外の墓を暴いて、先祖の屍体を辱めはしないかと心配している。・・・」と言わせた。
燕軍は土饅頭の墓を悉く掘り起こし、埋葬してある屍体を焼いた。即墨の人々は城壁からこれを冒険して、皆涙を垂れ、出撃して恨みを報いようと、怒りはおのずから十倍した。
兵を皆伏せて隠し、老弱婦女を城壁に上げ、使者を出して燕軍に降伏を申し入れた。・・・援軍はますます油断した。
田単は場内の牛を千余頭集めた。・・・刃を角に縛り、尾に油を注ぎ葦を束ね、その端に火をつけて、城壁に空いた数十の穴から、夜、放ち、・・・尾を焼かれた牛は怒り猛って援軍を驚かし、触れるモノを悉く殺傷した。燕軍は驚きの余り敗走した。斉兵はついに燕将騎劫を殺し、隊伍を乱して潰走する燕軍を北方に追撃した。
(解説)
上記の例以外に、楽毅と燕の恵王が不仲だったため、それを離反までさせ、楽毅を戦場から退かせた。そして、偽情報を流し、敵をかく乱した挙句、味方の士気を高めた。さらに燕軍に油断もさせ、加えて。牛に火をつけて、敵陣に放ち、牛角で刺殺され、その後で5千の兵も続いて無言のまま猛攻をかけ。さらに民衆も鐘等で天地を鳴動させるかのように打ち鳴らし、燕軍を混乱に陥れた。この結果、楽毅に奪われた70余りの城を奪還し、斉の襄王は首都に戻ることができた。
まさに正攻法がどこにもない、奇策のオンパレードである。お客も常にサプライズ状態になる。徹底的に奇策を講じることで優位に立て。敵も味方も良い意味で騙せば、全ては経営者の虜となる。
[教訓]
〇顧客も従業員も良い意味で騙せ。
〇常にサプライズを考えれば、全ては経営者の虜となる。