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土台を固めてから、売り上げを伸ばせ

およそ物事が極まれば、初めに変えるもの、冬が極まって夏になるのがこれ。ものごとが極端になれば危いもの、積み重ねた将棋の駒が倒れやすいのが、即ちこれ。

 

ここでもし王が、今までの功績を維持し威力を保守し、侵略の野心を去って仁義の道を厚うし、後々の患いを招かぬようにされるなら、古の三王を四王とし、今の五覇を六覇とするまでもなく、王は聖王賢王と肩を並べることができるのであります。これに反して、もし王が人口の多いのを頼み、武力の強いのに頼って、魏を破った勢いに乗じ、暴力で天下の諸侯を臣従させようとされるなら、私は必ず後々の禍があると思います。

 

初め非ざるなし。終わりある少なし。狐、水を渉り、その尾を濡らす。とありますのは、初めが容易でも、終わりの困難なことを言うものであります。

 

(解説)

これらは春申君が秦の昭王に上書して説いたもの。第一段落は、人間年おうことが物事を極めたことと言えるかどうかはさておき、むしろ物事を何か自分なりにでも極めたと思いたいものだが、死を迎える。死は無である。つまり生まれる前に戻る。一つのプロジェクトが完了すれば、それで一応の週末を迎える。そして会社の売上がピークになれば、後は落ちるだけ、もちろん売り上げが維持ができればよいのだが、そこで満足してしまうと、油断した挙句、足元をすくわれる可能性もなくはない。将棋の駒が倒れやすいのは、積み重ねれば積み重ねるほど、バランスを失する可能性が高くなるということもあろう。そのため、会社が大きくなればなるほど、一見安全にも見えるが、微妙なバランスを欠くと、一気に瓦解することもある。売上を伸ばす前に、組織を固めよ。

 

第二段落は、力に頼った経営は孰れ災いを招くということを意味する。競合を潰して勝ち切ればよいというものではない。切磋琢磨して競い合うライバルがいてこそ、高見に登ることができる。もちろん手を抜けということではない。相手を力をもって徹底的につぶすまで勝ち切るなということだ。変に恨みに持たれたらかなわない。

 

第三段落は、まず初めのないものはないが、終わりを全うするものは少ない。狐が川を渡るときに、最初は尻尾を緊張させ水にぬれないようしておくが、渡り切ったときに最後の最後で緊張が解けて、尻尾が水についてしまう事がある。つまり、最後の最後に油断してしまう事がある。目標に達成するまで、緊張の糸をほぐすな、ということだ。

 

[教訓]

〇会社も大きくなればなるほど、バランスを欠く場合がある。土台を強くせよ。無理に拡大させてはならない。

〇力で相手を潰しきるな。恨みを買ったら後で禍が起きる。

〇目標を達成するまで決して気を抜くな。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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