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どんな有能な人材にも欠点がある

「尺も短き所あり、寸も長き所あり」とある。白起は敵の力を図り、事変と適応して奇形を出す事極まりがなく、名声は天下に鳴り響いた。

王翦は函谷関に着いてからも、使者を引き返さして、始皇に美田を請うこと五度に及んだ。ある人が「将軍の請いも度が過ぎる」と言うと、応戦が言った。「そうではない。かの秦王は粗放で人を信じない。今、真の国内を空にして、全兵力を私一人に任したのである。だから多くの田宅を請うて、子孫のために蓄財を図り、自分の地位を堅固にすると見せかけなければ逆に秦王に居ながらに疑われてはたまらない。」

(解説)
白起とは秦の昭王時代の将軍であり、趙を攻めて40万人を生き埋めにしたことで知られる。秦の領土拡大に貢献した将軍であるが、王齕の敗戦を批判したことで、昭王に自害させられた。そして、非常に優れた将軍でありながらも、欠点があるということであった。優れていた点は、の能力を図って作戦を変え、奇策を無限に繰り出したことである。

どんなに有能な人でも欠点はあるし、無能だと思われていた人にも長所がある。モノによっては無能が有能を上回ることもある。ビジネスも同じである。だから無能だからと言って諦めることもない。有能な人材が有能と呼ばれるところ以外の分野で勝機を見つければよいのだ。

王翦は秦の始皇帝の中華統一に最大の貢献をした将軍である。キングダムでも有能な将軍として有名だ。むしろ主役の信(李信)の方が、しくじり先生に登場するような感じになっている。王翦は60万の兵が必要だというに対し、李信は20万でOKと言ったら、しくじって帰ってきて、始皇帝が王翦に頭を下げて60万で出兵して荊を攻め落とした。

王翦も始皇帝の性格を知っており、自分が疑われないために、自分の欲を見せた。そして始皇帝に容れられようと、調子を合わせたと言われている。皇帝も会社の経営者も、大小の違いはあれど権力者である。権力が美味しければ、みんなが寄ってたかってその権力を手に入れようとし、何度も裏切りに会っていても不思議はなく、人間不信の塊になっている人もいる。だからこそ、自分はこの会社で出世したいとか、この会社あってこその自分であることを大いにアピールするのも処世術に一つと言える。今、あなたの座は決して奪うものではないですよ、という事を知らせるのである。契約時に相手に対しても有効な考え方でもある。

[教訓]
〇どんな有能な人材にだって勝てる分野はある。
〇人間不信の気がある経営者に対しては、自分の欲望を予めさらけ出せ。自分の欲望を叶えるためには、あなたが必要なんですとアピールせよ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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