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出来ないことは人に任せられるのが本物のリーダー

高祖は、「公は一を知ってまだ二を知らない。はかりごとを帷帳の中にめぐらし、勝利を千里の外に決することでは、わしは子房(張良)に及ばない。国家を静め人民を撫し、糧食を士卒に窮して糧道を絶たないことでは、わしは蕭何に及ばない。百万の軍を連ね、戦えば必ず勝ち、攻めれば必ず取ることでは、わしは韓信に及ばない。この三人はみな人傑であるのに、わしは能くこれを使うことができる。これがわしの天下を取ったいわれである。項羽はたった一人の范増さえ用いることができなかった。これがわしに虜にされたいわれである。」

(解説)
リーダーは自分一人で何でもできるスーパースターである必要はない。それぞれの専門家をうまく使うことで、プロジェクトとしての結果を出せればいいのだ。

能力のある人は何でも自分でやってしまいたくなる。その結果、自分の能力がそのプロジェクトの上限となってしまう。つまり会社の社長の能力が、会社の限界になってしまうということになる。こうなると自分の時間は1日24時間のうち、睡眠時間や食事の時間等を8時間と設定した場合、労働時間は16時間しかできないわけだから、後は睡眠時間を削るしかなくなる。これは辛い。また、自分のできることだけが仕事の限界になってしまうので、大きなプロジェクトには対応しきれない。上記の例ではそれぞれの役割は以下の通りだ。

張良:計画を立てるスペシャリスト→経営企画室
蕭何:ロジスティクスや管理のスペシャリスト→ロジスティクス、ファイナンス、購買、管理等
韓信:戦争のスペシャリスト→営業
劉邦:皇帝→CEO

ちなみに范増は、項羽から愛されていたが、劉邦側からの権謀術数により、項羽が、范増と劉邦とがつながっていると疑いを持つようになり、范増の権限を奪い、范増は項羽に疑われていることを聞いて辞職した。リーダーたるや、部下の仕事を取り上げてはならんのだ。信頼してやり切ってもらうことが大切。

人を上手く使えれば、優れたリーダーになれるが、人を上手く使えない限り優れたリーダーにはなれない。そしてプロジェクトを達成することはできないのである。

[教訓]
〇リーダーは何でもできるスーパースターでなくてもよい。
〇人を上手く使えれば優れたリーダーになれる。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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