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良いときに、人生の良きプロデューサーに会えるかどうかで成功が決まる

山に籠って田を作り、辛苦したとて食えやせぬ。さて役人となるとても、心いやしい欲張りは、恥もものかは財産残し、その身死んでも家は富む。そうでなければおそらくは、賄賂をむさぼり法を曲げ、悪を働き大罪犯し、その身は死んで家滅ぶ。貪吏なんどになれようか。さては廉吏となろうとも、法律守り食守り、死ぬまで身をば潔うして、いまやいとしや妻や子が、食うに困って薪負い、しがない暮らしをするわいな。宰相なんどになれようか。

『天下に災害なくんば、聖人ありと言えどもその才を施すところなく、上下和同すれば、賢者ありと言えどもその功を立つるところなし』

「鳥のまさに死なんとする、その鳴くや哀し。人の将に死なんとするその言や善し」

(解説)
優孟が荘王に言った言葉である。中々、現実を示している。山にこもって田を耕して、一生懸命農業をしても禄に食べられもしない。役人になったとしても、心いやしい者が財産を残し、自ら死んでも子孫は反映する。あるいは賄賂を受け取って、法律を曲げて大罪を犯して、それがバレれば、自らも滅ぶが、子孫も耐えてしまう。だから、貧乏な役人なんかにはなってもいられない。ましてや立派な役人を目指すことになれば、法律を遵守し、死ぬまで清廉潔白な生き方をすれば、子孫は薪を背負って、貧乏な生活を送る羽目になる。だから宰相なんかになれはしない、と言う。

優孟が自分の身を嘆いていたわけではなく、楚の宰相であった孫叔敖の子が、孫の死後に、貧乏生活をしていたので、それを風刺して言ったわけである。その結果、荘王は孫叔敖の子を四百戸に封じ、子孫が絶えなかったと言う。タイミングよく、優孟が孫叔敖の子をプロデュースしたというわけだ。

第二段目は、東方朔の言葉である。何もないとき、いわゆる大したトラブルもなく、順調なときの経営者であれば、正直誰でもできる。ただ、トラブル続き、いわゆる災害時には、その経営者が優れているかどうかがわかる。それ故本当に優秀な経営者であってもトラブル時にしか本当の才能を発揮するときはないのだ。また、みんなが仲良くやっているようなとき、これも組織に問題がないときには、どんなに優れた経営者と言っても、その能力を発揮するときがない。

第三段目は東方朔が死ぬ間際に、名言を残してくれたことによる。つまり鳥が死ぬときの鳴き声は非常に悲しげで、人の心を打つ。人が死ぬ間際の言葉は、名言だらけだという事だ。死ぬときには人生の集大成であろうか。最後に頭脳の閃きがあり、言葉になるのであろう。

[教訓]
〇タイミングが良いときに、上手くプロデュースしてもらえば、人生は花開く。
〇トラブルがあったとき、どのように対処できるかで、本当に有能な経営者(リーダー)であるかがわかる。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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