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勝つためのポジショニングマップの使い方

孫子曰く、地形には、通ずる者有り、挂ぐる者有り、支るる者有り、隘き者有り、険しき者有り、遠き者有り。

(現代語訳)

孫子が言うには、行軍の際に注意すべき地形は、直線道路や十字路のように遠方に開けたもの、途中に行軍の渋滞をもたらす障害の地、途中で道が分岐したもの、通行の妨げとなる狭隘なもの、行軍を困難とする険しいもの、そして敵と味方の陣がはるかに遠いものがある。

(解説)

ビジネスにおいては、自社にとって有利なポジショニングかを吟味すべきだということになる。特にこれから起業するビジネスは、ニッチ市場を狙わざるを得ない。選ぶポイントは、競合がいない、あるいは少ないところとなる。

ポジショニング分析をやったことはあるだろうか。そのうちの一つの方法でポジショニングマップというものがある。要素を二軸を取って、サービス内容や企業をプロットしていき、自社のサービスはここに位置します、と描くのだ。ベンチャーキャピタルから投資を受ける時に作るマップである。この二軸の取り方が問題だ。マップを作るだけならば、自分たちの強みを軸にしてしまえば、差別化ができてしまう。しかし差別化ができたとしても、その強みは自分たちが主張するものにすぎず、顧客がその強みに反応してくれるかはまた別なのだ。顧客の反応率の悪い軸をとっても、その差別化には全く意味をなさなくなる。

自分たちの強みを軸にするよりも、顧客への訴求力を軸にした方がよいであろう。そしてそこで軸にしたところでどれだけ自社のサービスが強みを持っているのか、差別化できているのかという視点が不可欠だ。このような視点が抜けてしまっているため、多くのポジショニングマップが説得力を欠けている。

顧客(消費者)がその商品やサービスを選択する理由となるべき二軸を探し、そのカテゴリーで空白地帯を探し出すのがポイントだ。しかもその空白地帯に位置することで競合他社に対して、競争力を保持できること。軸の例としては、ターゲット属性(年齢、所得、性別等)、ベネフィット(流行/保守的等)、サービスの提供方法(オフライン/オンライン、一括/継続課金等)、価格(高価格/低価格等)があるが、正直無限大である。

[教訓]

〇競合が少ないかいないニッチ市場を探せ

〇ポジショニングマップ作成の際の二軸は消費者がその商品やサービスを購入するという視点が不可欠だ。

〇ポジショニングマップでの空白地帯は、事業を展開する候補地となる。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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