夫れ地形なる者は、兵の助なり。敵を料りて勝を制し、険阨・遠近を計るは、上将の道なり。此れを知りて戦いを用うる者は必ず勝ち、此れを知らずして戦いを用う者ものは必ず敗る。
(現代語訳)
そもそも地形は戦争のための有力な助けとなる。敵の実情を分析して勝算を立て、土地の険易・遠近を計測するのは、有能な将軍の在り方である。このことを十分に考えたうえで戦闘を起こすものは勝利し、このことを十分に考えずに戦闘を起こすものは敗北する。
(解説)
マーケティングには3C分析というものがある。孫子の言うように「敵の実情を分析して勝算を立て、・・・十分に考えたうえで戦闘を起こすものは勝利し」とあるが、3C分析をすれば絶対に勝てるとまでは言えないけれども、勝つための示唆を与えてくれる分析であるから、以下簡潔に解説しよう。
ここでいう3Cとは、Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の頭文字を取ったものだ。これらで把握すべき項目とは以下のようになる。
業界の市場規模
市場の成長性
顧客ニーズ
顧客の消費行動や購買行動
競合各社の市場占有率(現状及び推移)
各競合他社の特徴(戦略等)
新規参入や代替品の脅威
競合他社の今後想定される行動とその対抗手段
自社のビジョン
自社製品の現状
強みや弱み
3C分析を行うこと、つまり顧客、競合他社、自社の関係性を明示化することで、自社の強みや弱みを知り、経営戦略の課題を明確にすることができる。競合の実情を分析し、顧客と自社の距離感を明らかにすることで勝算を立てるツールになりえる。
[教訓]
〇競合他社の実情を分析し、顧客と自社の距離感を明確にせよ。
〇顧客と競合、自社の関係を明確化するにはマーケティングツールの一つである3C分析が適切。