孫子に学ぶ、「勝ちを知るに五有り。以て戦うべきと以て戦うべからざるとを知る者は勝つ。衆寡の用を識る者は勝つ。上下欲を同じくする者は勝つ。虞を以て不虞を待つ者は勝つ。将能にして君御せざる者は勝つ。此の五者は勝ちを知るの道なり。」
(現代語訳)
勝利を見極めるには5つのポイントがあって、戦うべきかどうかの見極めが付く者は勝つ。兵力の多寡に応じてその適切な運用ができる者が勝つ。上に立つ者と下の者の気持ちが一致している者は勝つ。深い計略によって敵の不覚を待つ者は勝つ。将軍が有能で、君主がその将軍の指揮権に介入しない者は勝つ。この5つが勝利を見極めるための方策である。
(解説)
戦争の勝ち負けは、戦争が始まる前に既に決まっているともいえる。それを判断するのが次の5つのポイントなのだ。
新規事業が勝算があるかどうかを判断できるか。勝算がなければ決して戦ってはならない。事業資源が少ないときは、少ないなりの事業ができるか。最初に巨額の資金調達ができなければ始められないというのでは、永遠に事業などできやしない。巨額の資金調達を最初からするのではなくて、小さく始められる事業をスタートさせて、信用力を高めたうえで、それに合わせた資金調達をしていけば、そのうち巨額の資金調達ができるようになる。資金調達できません。事業が始められませんではただの馬鹿だ。
上役もスタッフも同じ気持ちでなければ戦えない。組織として協力にはならない。競合がいる場合には、相手のミスに乗じて攻め込む必要もあるだろう。そのためにまずじっくりと情報収集ができるかどうか。相手を焦らせてミスを誘う戦術もある。
代表がいちいち口出しをせず、部下に任せきることもまた大切だ。現場を知っている者が状況判断をして、事業を遂行した方がいいことも多い。
[教訓]
〇勝算があるかどうかを判断することが必要。
〇資源がないときにはないなりの稼ぎ方ができなければならない。
〇組織全体が同じ方向性を持っていなければならない。組織の利益を組織全体で共有せよ。
〇情報収集をじっくり行え。相手を焦らせ、ミスを誘発することも時には必要。
〇上司は部下に仕事を任せきれ。一挙手一投足いちいち見張るな。自由にやらせよ。