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御前会議の重要性

孫子に学ぶ、「夫れ未だ戦わずして廟算して勝つ者は、算を得ること多ければなり、未だ戦わずして廟算して勝たざる者は、算を得ること少なければなり。算多きは勝ち、算少なきは勝たず。而るを況んや算無きに於いてをや。吾れ此れを以て之を観れば、勝負見わる。」

(現代語訳)

実際の戦闘を行う前に御前会議を行って勝利の確信が得られるのは、勝算が多いからである。逆に勝利の確信が得られないのは勝算が少ないからである。図上演習において勝算が多ければ勝利し、勝算が少ないものは敗北する。勝算が全くないものは勝てるわけがない。これによって勝敗は事前に明らかになる。

(解説)

廟算の廟とは、祖先の例を祭る堂のことで、戦争を始める前に、ここで行われる重要な御前会議を廟算と言う。戦いは、徹底的な情報分析を行い、そこに感情をさしはさまなければ戦う前に勝敗はわかる。戦いは神頼みや精神論だけではいかんともしようがない。しかし現実には勝算がなくても挙兵して敗北するということは歴史上も珍しくはない。

ビジネスにおいて大切なことは、新規事業を行う場合には、その勝算について徹底的に調査すべきだ。この事前分析をしないパターンが多い。チェーン店にもなれば、商圏分析をするものだが、一店舗目に飲食店を出す際に、商圏分析を真剣に行ったこと等聞いたことがない。大抵どうしてそこに店を出したのかを聞いてみたら、そのエリアに店を出したかったからだ、その物件がたまたま空いていたのだ。不動産屋から急かされて。と言ったことが多いこと。本来ならば、自分が出店するエリアに、競合店が何店舗あって、競合店がどのような営業を行っているか、メニューやその価格帯とかを把握したり、そもそも自分の出す店をニーズがどれくらいあるのかどうかといったことを調査しなければならない。しかし多くの飲食店のオーナーは、まず店を出すことを第一とする。しかも店を出せば、客は来ると思っているかのようだ。

飲食店に限らず、自分が起業をすれば、何故か客が来ると思い込んでいる節がある人も少なくない。客とは呼ばなきゃ来ないし、そもそも呼んだからと言ってくるものでもない。客はあなたのサービスをなぜ受けなければならないかといった理由が必要だし、それを受ける理由がない、あるいはほかの会社での別のサービスの方がいいと思われてしまったら、それで終わってしまう。

顧客ニーズを取らえ、さらに事業計画を書いてみる。いわゆる収支表だ。その収支がどうやっても回らなければ、上手くはいかないし、その収支が回れば、ひょっとしたらうまくいくかもと言うレベルにすぎないのだ。また独りよがりの予算案で上手くいくほど甘くはない。御前会議のような、数名で話し合って、全員が腑に落ちるような計画でなければならない。勝算が見えてからビジネスは始めるべきなのだ。

[教訓]

〇ビジネスにおいて、勝算は徹底的に調査せよ。

〇勝算が見えてからビジネスは始めろ。

〇独りよがりで予算を立てるな。必ず誰かに見てもらえ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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