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組織は信賞必罰が大切。その効果的な用い方とは。

卒、未だ親附せざるに而も之を罰すれば、則ち服さず。服さざれば、則し用い難きなり。卒、已に親附せるに而も罰行わざれば、則ち用いるべからざるなり。故に之を合するに文を以てし、之を斉うるに武を以てす。是を必取と謂う。

(現代語訳)

兵士がまだ忠誠心がないのに厳しく罰すれば、将軍に心服しなくなる。心服していなければ、上手く使うことはできない。兵士に忠誠心があるのに、優しく接して厳罰を適用しないと、これもまた使い物にならない。そのため、最初は温情によって心を掴み、武威によって整えていく。これで必ず勝ちを取れる。

(解説)

本来兵士ではない一般民衆をどのように一人前の兵士に育てるかどうかを説いている。そして文武をうまく使い分けることとしている。

忠誠心がないうちに厳しくしても、いやいやながら従うだけだ。その気持ちはどこかに出てくる。それは組織として致命傷になりうる。かといって、ある程度慣れてきて、忠誠心があっても、いつまでも優しく甘やかしていては、到底戦力にはならない。その場しのぎのために、ついつい甘くしたくもなるが、リーダーと兵士の間には親しさと厳しさを相備えていなければならない。

組織運営で重要なことは信賞必罰である。規律違反を起こした者が、経営者にとっての腹心であったとする。ここまで頑張ってきたからといって、お咎めなしにしてしまったら、それでも許されるのかと思って、組織の他の人間が、規律に従わなくなってしまう。あるいはその腹心部下には甘く、その他の者に厳しく当たれば、今まで熟成してきた忠誠心もなくなってしまう。そして、規律が一度緩んでしまうと、緊張感のない組織になってしまう。この緊張感のなさが、いずれ不祥事となって現れ、いずれ顧客や取引先に知れることになり、一気に彼らからの信頼を失う。そのため、組織で問題を起こしたときには、その者が会社にとってどういう人材であったとしても、毅然とした態度を取る必要がある。

最も厳罰すぎるのも考え物だ。度を過ぎると日々のルーティンですらも、慎重になりすぎて組織がスムーズに運営されなくなる。厳しすぎてもいけないし甘すぎてもいけない。

そこで最初は優しくして心を掴み、忠誠心を熟成した後で厳しくするのが、勝ちを得る組織となりうるとしている。

[教訓]

〇組織は信賞必罰が重要。

〇組織にとってどういう人間かは関係がない。とにかく差をつけずに規律通りに扱え。

〇最初は優しく忠誠心を向上するに勤め、忠誠心が熟成した後で徐々に厳しくしていくのが、勝ちを得る組織としてふさわしい人材の育て方だ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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