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一流のセールスマンと詐欺師は紙一重、それを分ける違いは?

辞卑くして備えを益す者は、進むなり。辞疆くして進駆する者は、退くなり。軽車の先ず出でて、其の側に居る者は、陣するなり。約無くして和を請う者は、謀なり。奔走して兵を陳る者は、期するなり。半進半退する者は、誘うなり。

(現代語訳)

敵の使者が言葉を低くして守備に専念しているように見せているのは、進撃の準備をしている。高圧的な態度でいかにも進撃しそうに見せているのは、退却の準備をしている。機動性の高い戦車が疾走しているのは、陣立てをしている。切迫した状況でないのに和睦を求めてくるのは、こちらを油断させようとしている。伝令が走り回り兵士を整列させているのは決戦を意図している。敵軍が中途半端に進撃したり退却したりしているのは、こちらを誘い出そうとしている。

(解説)

計略はこちらから相手に仕掛けるだけでなく、相手からこちらに仕掛けることもあるから、注意せよということで、相手の使者の言うことを真に受けず、相手の真意を読み解くべきだと説いている。

一流のセールスマンにとっては心外かもしれないが、一流のセールスマンと詐欺師は実は紙一重である。同じ鏡を表と裏から見ているだけのことだ。前者は合法だが後者は違法というだけにすぎず、使っているテクニックは非常に似通っている。ここでは見破るテクニックというよりはこんな人には注意した方がいいというチェック項目を挙げておこう。

実はどちらもいい人にしか見えない。そこで「あの人は根はいい人だからさ」と自分が思っている相手には、騙されている可能性がある。「この人実はいい人」を今すぐリスト化してみよう。但し、利害関係がなければ、いい人であっても実害はない。

あとは今がベストタイミングであることを強調する。この時期を逃したら次はないというセリフを良く使う。しかし、そのいい人に会うと、大抵何度でも何らかの形で、会うたびに別の商材で今がベストタイミングだと言ってくるから、気が向いたときにでも付き合ってあげればいい。しかも一流セールスマンと詐欺師は無理に商品を売り込まない。なぜかいつの間にかにその商品がいいものと思わされているのだ。いつの間にか巻き込まれているともいえる。

そうして「あなたのためを思っているんだ」「心配しています」ということもよく言う。こういう人に限って、実は本人自身のことしか考えていない人は多い。そして心配しているのは、こちらではなく、「心配していると言ってくる本人の懐具合だ」と思った方がいい。

財布を掴むよりも、まずは心を掴む、そして心をしっかりと握った後で財布も握る。最近一流セールスマンと詐欺師の違いがよくわからない。少なくともテクニックという意味では。結局はどちらも人の財布を狙っているというのが真意でしかない。

[教訓]

〇今がベストタイミング。今を逃したら次はないという商品に手を出すのはやめておけ。そのセールスマンが会ったらいつでもベストタイミングと言ってくる。

〇あなたのことを思っている、心配していると言っている奴にも注意しろ。心配なのはそいつの懐具合でしかない。

〇営業するなら、財布よりもまず心を掴め。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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