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ビジネスを失敗させないための攻めと守りの方法

孫子に学ぶ、「昔の善く戦う者は、先ず勝つべからざるを為して、以て敵の勝つべきを待つ。勝つべからざるは己に在り、勝つべきは敵に在り。」

(現代語訳)

昔の戦争が上手い者は、敵が攻撃してきても決して勝つことができないような体制を整え、敵が陣容を崩し、自軍が必ず勝てるという形が訪れるのを待った。それゆえ、しっかりした守備の態勢を作り上げるのはこちらに関わることであり、必ず勝つことができるような形が訪れるかどうかは敵に関わることだ。

(解説)

戦いには攻撃と防御がある。孫子の兵法は、まずは「負けない」ことを目指した。しかしだからといって、防御ばかりではいけない。敵の攻撃を我慢強く食い止め続けることで、反転攻勢の機会が生まれる。攻撃と防御とは密接な関係にあり、不可分一帯、しかも攻守の反転は一瞬のうちに起こる。そのタイミングを見誤らないことだ。

ビジネスにおいても年柄年中、攻め続けられるわけではない。時機によっては、耐えざるを得ないときもある。事業によっては二月八月の客の入りが悪いこともある。こういうときには利益が出なかったとしても、耐えるべきときだ。焦って広告宣伝費をかけたところで無駄になることが多い。だから、利益が出たときには無駄に使わずに、しっかりと内部留保を貯めておくことだ。耐える時に初めて切り崩せばよい。普段から稼いで使ってしまう、宵越しの銭は持たないのはただの馬鹿だと心得よ。

また、競合の攻勢によって、自社の売上が落ち込むこともある。しかし競合が攻勢をかけているときは、相手は無理をしているものだ。どこかでその攻撃は止まる。そこまでじっくりと待つことだ。そこであわてて、こちらもキャンペーンを張るとなると、それだけコストがかかる。

こちらはひたすら耐え忍ぶ、内部留保を切り崩す、時には資金調達を試みる。それは企業にとっての守備であり、自分たちができること。競合が一気に攻勢をかけるために、広告宣伝を行い、キャンペーンを展開するのは競合相手がやること。相手が自分たちに勝つための戦略は、自分たちにはどうすることもできない。だが、耐えることは自分たちだけでできることなのである。

[教訓]

〇攻撃の機会を待つために、しっかりと防御しろ。

〇相手の攻撃に、焦って対抗しても良いことはない。

〇相手の攻撃から守ることは自分たちのできること。自分たちは相手の攻撃に関しては守る以外には何もできない。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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